新型コロナウイルス感染症の流行で、消費者は自らの食生活を見直す必要が出てきている。新型コロナの大流行の結果、ヨーロッパ全域において、親たちは子供の免疫系を高めるためにより多くの栄養を食事に取り入れるようになったと主張している。

子どもの免疫系をサポートすることは、親にとっては最優先事項だ。米国では親の半数近くが、免疫系の健康維持のために子どもにビタミン、ミネラル、サプリメント(VMS)を与えている。子どもと健康に関するミンテル米国調査によれば、米国で12歳未満の子どもを持つ親の3/5近くが子ども向けに特別に調合されたマルチビタミンを利用していた。

しかし、ビタミンとサプリメントに関するミンテル英国調査によれば、英国で16歳未満の子どもを持つ親の半数近くが子どもに摂取させるVMSを見つけるのは難しいと主張している。ドイツでは新型コロナウイルス感染症の流行以来、1/4の親が以前よりも免疫系をサポートする食品に興味を持つようになっており、このことから、子ども向けに栄養強化された食品に、今後、注目が集まることが予想される。

消費者が求める子ども向けの健康的なアイスクリーム

米国の冷菓の消費者で子どもを持つ人のうち、自分の子どもに与える冷菓にもっと健康的な商品が増えてほしいと願っているのは、1/5程であった。英国では2/3以上の子どもが通常の食事の後にお菓子を食べているが、このようにお菓子が子どもの食生活へ普及していることから、健康的なお菓子の選択肢を増やすことが大きな商機に繋がることがわかった。

1

健康的な子ども向けアイスクリームの製品は、ごくわずかだが存在している。例えばLittle Jude’s Fruit and Veg Rocketsという製品には本物のフルーツや野菜が含まれている。このような製品は、18歳未満の子どもを持つ米国の親の半数近くにアピールすることができる可能性が高い。少なくとも家族の食事を準備する責任があり、子ども向けのスナックを買う世帯は、健康を第一優先事項としてあげている。

少数の企業から子供向けのアイスクリームが最近発売されているが、そのどれもが、栄養強化を謳っているだけで、免疫系を高める商品としては売り出されていない。単にビタミンCやDが添加された商品である。

子ども向けの免疫向上アイスクリーム

世界中で発売される新商品のアイスクリームの中で、実用的な免疫系の健康効果を謳うものはほとんどない。しかしインドのDairy Dayは、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、免疫向上アイスクリームを発売した。

2

市場に出回っている数少ない免疫向上アイスクリームは子ども向けではない。子どもの免疫向上を意図したアイスクリームに関する調査の例はいくつかあるが少数である。このことから子ども向け製品は市場においてニッチ分野であることが分かる。

子どもの食習慣に関するミンテル英国調査によれば、英国では2/3以上の親がアイスクリームやデザートを買うのは特に子どものためだということが分かった。親はその食品が子どもにとって適切なものであるかどうかということを重要視して商品を選んでいる。このことから考えると、子ども向けのアイスクリームを発売することはブランドにとって商機に繋がるだろう。

腸に優しい成分で免疫系をサポート

多くの消費者が、腸の健康と免疫系に関連があることを認識している。例えば、スペインでは消費者の半数以上が、腸に優しい成分を含む食品の摂取が免疫系のサポートに役立つと認識している。多くのメディアが胃腸の健康維持の重要性に注目する中、英国では多くの親たちが腸の健康に良いとされるアイスクリームに興味を持っている。

しかし、欧州食品安全機関の規制の下で胃腸の健康への効果に関する文言をパッケージに記載するのは容易ではなく、EU圏内でプロバイオティクスやプレバイオティクスという言葉を使うのは非常に難しい。いくつかのアイスクリームのブランドは、ここ数年、パッケージに食物繊維添加と記載することで、胃腸の健康に有益であることを遠回しに、ほのめかしてきた。

中国の健康食品に関するミンテルの調査によれば、中国では2/3近くの消費者が子どもにプロバイオティクスのサプリメントを摂取させている。子どもの腸の健康に対する関心は以前からあったということが浮き彫りになった。

胃腸への効果を謳うアイスクリームは免疫効果を高める可能性がある

世界でもプレバイオティクス、プロバイオティクス、胃腸の健康への効果を謳うアイスクリームの新製品はニッチな分野だが、多くの人が免疫系の健康に関心を寄せている中、これらの要素が売りの新製品には、今後、商機が訪れるだろう。

Guuud Greek Yogurt Ice Cream Dos Pinos Strawberry Yogurt Ice Creamのような商品は、はっきりと胃腸の健康への効果に言及しているが、免疫系の健康には触れていない。胃腸の健康を訴えるブランドは、同時に腸の健康維持による免疫への効果も訴えることができるだろう。

3 4

Twisted Health Treats社が謳う胃腸と免疫系に関する効果

オーストラリアのTwisted Health Treats社は、自社の様々な種類のアイスクリームには、免疫系と胃腸の働きを高める、生きたまま働くプロバイオティクス微生物を容器1つにつき10億個含んでいる、と謳っている。このブランドは2020年6月に米国進出を果たした。

Twisted Health Treats社が使用しているのはプロバイオティクス菌のバチルス・コアグランス GBI-30、6086で、製造業者によれば、風邪やインフルエンザと戦う保護的サイトカイン(生理活性タンパク質)の調節に役立つと言われている。

明確に子ども向けとはされてはいないが、小型容器や低カロリーといった商品の特徴が親たちに訴求できる可能性は高い。ブランドは、プロバイオティクスには胃腸や免疫系の健康に対する効果があると明確に謳っている。新型コロナウイルス感染症が流行している今、ブランドは未来を見据え、世相に合わせたメッセージとして消費者へこれを伝えている。

私たちの見解

新型コロナウイルス感染症の流行を受け、特に親たちの間で、免疫を高める食品への関心が高まった。アイスクリームなどのお菓子は子どもの食生活に不可欠の要素であることから、免疫系を高めるための栄養素を子どもたちが摂取するために利用しない手はない。腸の健康に対する効果のある成分は、免疫系の健康の向上との相乗効果が期待できる。このことから、腸への健康効果を売りにしている製品は

免疫力向上の効果も謳うことができるはずだ。この場合、腸の健康と免疫力向上の関連性について消費者が理解できるようパッケージに明示する必要がある。