ミンテルトレンドの「Straight to You(あなたに直接)」というテーマでは、居場所を問わずドローンから商品やサービスを直接受け取ることを消費者がいかに期待しているのかということについて取り上げています。デジタル時代のおかげで消費者は、買い物をしに実際に店に出向く必要はありません。小売店は消費者の家の中に持ち込まれ、オンデマンド文化が小売業界の枠を越えようとしています。

この結果、ドローン配達は若い企業の人気を博しています。ドローンは、余暇で楽しむクールな機械になったと同時に、ますます多くの政府や企業で、配達、監視、救助、医療を目的とした使用の検討が始められています。ここでは、アジア太平洋地域でこのアプローチを採用した企業をご紹介します。

JD.com(中国)

JD.comは、2017年12月に現地の中国政府と連携し、遠方の断崖上の村に必要性の高い医療品をドローンで届ける試みを始めました。これにより、通常なら数時間かかるところが、ほんの10分で届けることができます。レポートによると、中国初の医療用ドローンは四川省のリヤンシャンイ族自治州の村の上空を飛行し、村人に抗炎症薬と風邪薬を届けたということです。

さらに、JD.comが見積もったところ、ドローン配達による物流は、自動車やワゴン車、オートバイなど従来の運送手段による配達に比べてコストを最大70%削減できるそうです。

ドローンは、医療に大変革をもたらす可能性を秘めています。なぜなら、病院や医療サービス提供者が、重要な医療サンプルや資源を素早く配送したり受領したりできるようになるからです。このテクノロジーをオンラインの健診と組み合わせれば、誰もがいつでもどこにいても利用できる、新たな形の医療サービスを提供できるかもしれません。

Guzman Y Gomez(オーストラリア)

Guzman Y GomezはProject Wingと提携し、レストランチェーンのアプリで注文をするオーストラリア首都圏の消費者に、ドローンで料理を配達する試みを行っています。まだ実験段階ですが、この企業はドローン配達を実現化させ、21世紀のファーストフードを変革することを約束しています。

手に入る商品だけでなく、それらが配達される早さに対しても、消費者はわがままになりつつあります。ミンテルの調査によれば、首都圏に住むオーストラリア人の3人に1人が、時間がないため職場か自宅近くで買い物をし、4人に1人が机で昼食を取って時間を節約しているそうです。

Ele.me(中国)

Ele.meは、中国の食物配達サービス大手の一つであり、一日の配達数はすでに100万件を超えています。去年中国の上海で開催されたWorld Unmanned Systems Conference(世界無人システム会議)で、Ele.meは新たに改良されたドローン機を紹介しました。E7と名付けられたこのドローンは、最大6kgの食べ物を、最高時速65kmの速さで20kmまで運ぶことが可能です。ドローン配達の試みは、中国の複数の都市で近々開始されます。

電子商取引や食物配達サービスの拡大により、中国の消費者は、欲しい物は何でも、場所や時を問わず配達されることを期待するようになりました。中国の新小売部門に関するミンテルの調査によれば、中国人消費者の半数が、宅配の方が時間を節約できるため、店頭でのショッピングよりオンラインショッピングを好むと答えています。

私たちの考え

消費者が減少し続ける自由時間をより効果的に利用できるようにするサービスは今後も関心を集め、成功を収めることでしょう。さらに企業は、高速のソリューション界に進む前に、対象とする人口のニーズを確実に理解する必要があるでしょう。

加えて、多くの企業もまた、人手による宅配ネットワークを、ドローンや自動運転の輸送トラックといったより革新的な輸送方法に徐々に切り替える計画を発表しています。このようなテクノロジーにより、配達サービスにかかるコストや時間を減らせるだけでなく、企業はより遠方の地域まで商品を届けられるようになります。