ジェンダーにとらわれず、隔たりを持たない若い男性消費者が増えるにつれて、身だしなみに関わるアイテムや新商品を試すことへの関心が高まり、新たな商機が生まれます。

Z世代の購買力の成長へ切り込む

Z世代の中でも最も若い層は、自由に使うことのできる可処分所得が少ないのが現状です。しかしながら、バンク・オブ・アメリカによるレポートによれば、米国のZ世代の消費者の所得 は2030年ごろまでにミレニアル世代 を追い越し、その購買力は2031年までに現在の約7兆ドルから約33兆ドルまで成長することが見込まれています。インターネットへの強みと、高いテレワークスキルが、彼らのこれからの所得 を上げる鍵となっています。しかしながら、Z世代には2007年の経済不況で家族が苦しむ姿を目の当たりにした人々も多いため 消費活動は保守的であると予想されています。だからこそ、ブランドは彼らの興味をそそるための戦略について考えなければなりません。

ジェンダーレスなブランディングに注目

男性用であることを強調し、大胆なダークカラーを使用するなど、ストレートに男性をターゲットにした製品が豊富に出回っています。こうしたアプローチは機能性を重視する男性には支持されますが     、より若い世代の男性はこうした従来の訴求方法ではなく、ジェンダーにとらわれないブランディングで、男性にも女性にも魅力的で洗練されたデザインの商品を好む傾向にあります。

消費者行動や売上に大きな影響を与えるインフルエンサー

フォロワーに自信や信頼感を与えるような美容ブロガーやインフルエンサーたちは、若い男性をも魅了しています。Hyram Yarbro は、TikTok上に670万人ものフォロワーを持つ、世界的に知名度の高いインフルエンサーです。ジェンダーにとらわれないアプローチで視聴者を惹きつけることが成功の要素であり、自身のスキンケアライン「Selfless By Hyram」の発売にもつながりました。

米国では18歳から24歳の半数以上がTikTokから美容について学びを得ており     、スペインでは18歳から24歳の 約5人に4人がSNSから美容・身だしなみに関する情報をSNSで得ています

インクルーシブなブランドは性別に関わらずZ世代にアプローチ

未来のためにデザインされたブランド
Humanrace は様々なポイントを網羅しています。 ファレル・ウィリアムズが担当医と開発したことで、セレブリティがスキンケア業界に参入するというトレンドをおさえています。また、詰め替え可能で「オールジェンダー」向けであることも特長です。

 

シェービングをインクルーシブに
昨年、米国で発売されたBiC USは、男性用、女性用とわかれた従来のシェービング製品の概念を覆すものです。シェーブクリーム、ブレード、リフィル(詰め替え)など、商品は多岐に渡ります。

環境に優しくインクルーシブに 

発のスキンケアブランドBePlain はジェンダーレスかつ環境に優しいという2つの社会課題への解決を網羅したことで世界中で社会現象を巻き起こしました。

パッケージから男性向けと明確に分かるような安心感を求めている男性もまだまだいるのが現状

機能性を重視する男性は男性用として認知度が高く、迷う必要のない商品を求めています。自分に合った商品を選ぶために必要とされる知識があまりなく、最適な商品を選ぶ自信もないという男性消費者も多いため、製品機能が明示され、男性用であることを再確認できるようなブランディングが響くのです。

男性を惹きつけるのはジェンダーレスのアピールのみではない

War Paint For Men は、男性用であることを強調した大胆なブランディングを行ったメイクアップラインです。 その戦略が功を奏し、今や世界70か国で若い世代の男性をターゲットに販売されています。

似たような事例では、野球界のスター、アレックス・ロドリゲス氏がhims & hersと提携してThe Blur Stickコンシーラーを発売しています。どんな肌色の消費者も愛用できるよう、多様性に目を向けた8種類のトーンが用意され、男性用化粧品であることが強調されています。

変化を軸としたメッセージングの展開

男性の身だしなみに関わる商品は、冒険心が強く、パーソナルケアにおいて新たなアプローチ方法をトライすることに寛容なZ世代の男性が増えてきていることで、従来とは全く違う外見の商品を作るなど、転換点を迎えています。

こうした男性からの需要は、男性向けの身だしなみ用品カテゴリーに革新の波をもたらすだけでなく、新たなブランディングやストーリーづくりに取り組む企業に商機を与えるでしょう。Z世代の男性消費者は、多様性に目を向けたメッセージを掲げ、SNSを活用してユーザーとコミュニケーションを図るブランドが作りだす新しい商品を試していくことにも積極的です。