ホットスポットでは、世界中で発表された製品やサービスについて、Mintel Trendsチームの見解をお伝えしています。

NFT自動販売機から、包装廃棄物を削減するラベルなし飲料ボトルまで、今月の最も革新的なグローバル・イニシアティブをご紹介します。

NFT自動販売機 – 米国

デジタルアートプラットフォームの Neonは、NFTの新しい自動販売機を手掛けています。消費者はクレジットカードやデビットカードを使ってボックスを購入し、ボックスに同封されているQRコードを読み取ると、Neonプラットフォーム上で即座にSolana NFTと交換することができます。

NFTに対する消費者の関心は高まっていますが、その購入は未だ敷居が高いかもしれません。 NFTは通常、暗号資産で購入されます。しかし、すべての消費者が暗号資産に精通し安全な決済方法として自信を持っているわけではありません。このNFT自動販売機では、デジタルウォレットを持つという必要性がなくなり、消費者は他のNFTプラットフォームが求める決済方法であるイーサリアムではなく、米ドルで支払うことができるようになります。シームレスな購入プロセスにより、この自動販売機はNFTの所有を日常の消費者にとってより身近なものにしました。まるで自動販売機でおやつを購入するくらいお手軽です。

不換紙幣から暗号通貨への変換を不要とし、消費者に代わって手続きを行うサービスが登場すれば、NFTの所有と売却はより容易になるでしょう。こうしたサービスにより、NFTの購入がより簡単になものなり、消費者がより信頼でき、安全であると考える対面取引に適した利便性を提供することができます。これはNFTコレクションが、暗号通貨の使用に慣れている人だけでなく、従来の消費者により広く購入されるようになることを意味します。

Diana Kelter – Mintel 北アメリカ トレンドアソシエイトディレクター

メタバース内のスーパーマーケット – 東南アジア

タイの小売複合企業Central Retailは、 Zipmexとパートナーシップを組み、ブロックチェーンを活用したメタバースにおいて、東南アジア初のデジタルスーパーマーケットを立ち上げる予定です。CRCリテール戦略は、未来のリテール・イノベーションを推進し、すべてのお客様にとって「Central to Life」となるシームレスな体験を創造することを目的としています。アジア太平洋地域有数のデジタル資産交換プラットフォームであるZipmexとのパートナーシップは、ブロックチェーンを活用したスーパーマーケットを通じて、現代の消費者をメタバースにつなげることを目的としています。デジタルスーパーマーケットがメタバースでどのように見えるか、どのように機能するかについて、詳細はほとんど発表されていませんが、ブロックチェーン技術による在庫管理、暗号通貨による取引、NFTによる会員管理、CRM(顧客関係管理)、そして商品を顧客に届けるための「現実世界」の物流インフラなど、既存の構成要素を取り込むことになりそうです。

東南アジアの消費者のメタバースに対する関心は依然として高く、パンデミックが高齢の消費者の間でも、食料品の購入など日常の雑事にデジタル技術を取り入れることを加速させています。企業は、メタバースのためのフレームワークや 構成要素の組み立て、消費者に提供できるサービスや体験の初期構想を懸命に練っています。 この新しいテクノロジーが提供するものが、より合理的で実用的かつ便利で心躍るものになるにつれ、より多くの企業、ブランド、消費者と(メタバースに)つながりを持ち、この新しいデジタル空間を探求していくことでしょう。

Joey Khong – Mintel 東南アジア トレンドアナリスト

ラベルなし飲料ボトル – 中国

Master Kongは、中国で初めてラベルのないボトル飲料を発売し、包装廃棄物の削減に取り組んでいます。

中国の二酸化炭素排出量削減計画に呼応し、同社は新たなボトルパッケージを卸売用アイスブラックティーと無糖アイスティーの2製品でテストしています。レーザー印字技術を用いて、製品名や使用期限など必要な情報をボトルに印字します。

消費者は利便性と意識のバランスを取るのが難しいため、短期的にプラスチック包装を完全に捨て去ることは難しいでしょう。また、同社はプラスチックの問題を解決するために、リサイクルを促進し、生分解性の代替材料などの新素材のイノベーションにもっと投資することを含め、企業がより責任を持つよう引き続き働きかけていきます。一方、消費者は、さらなる透明性と、ブランドがどのように行動しているかをより簡単に理解できるような測定可能な指標を求めるようになるでしょう。

Victoria Li – Mintel シニアトレンドアナリスト 中国

パーソナライズされたヘアケア – ラテンアメリカ

ビューティーテックブランドJust For Youは、ラテンアメリカで初めてAIを活用し、パーソナライズされたシャンプーの処方を実現したブランドです。消費者は、肌質(乾燥、脂性、混合)から食事や運動といった生活習慣まで、アンケートに答えて自分だけのオリジナル商品を作るのです。また、香りの強さだけでなく、ボリュームや縮毛矯正など、希望する効果を選択することができ、さらに、ラベルまでカスタマイズすることが可能です。 このカスタマイズは、AIによって行われています。統計学者やエンジニアの指導のもと、また同社は、「Jul.IA」アルゴリズムを開発し、専用機による自動化により、製品資産の組み合わせや大量生産が可能になりました。

Mintelの2022年世界消費者動向「イン・コントロール」 では、消費者は商品の形状や受け取り方などに柔軟性を求めているという予見を提示しています。パンデミックにより、ネットショッピングを利用する消費者が増加し、特に在宅ワークの消費者が増えていることを考えると、ビューティーブランドは顧客のロイヤリティを創出する絶好の機会であると言えるでしょう。

在宅ワーク人口の多くは、美容関連の買い物をオンラインで行い、時間を効率的に使いたいと考えているようです。

そのため、定期購入サービス(サブスクリプション)は、パーソナライズされた美容製品やパーソナルケア製品のための次の大きな動きとなりそうです。ブランドは、製品の処方をパーソナライズするのではなく、消費者のライフスタイルに合わせた定期購入のパーソナライズを検討する方法を取ることもできます。消費者に新製品を試す機会を作ってみましょう。割引や、月に何個の製品を受け取るかを自由に選択できるようにすることで、消費者のロイヤリティと信頼を勝ち取ることもできるでしょう。

Beatriz Monteiro –Mintel アソシエイトトレンドアナリスト ラテンアメリカ