ミンテルの「The Future of Suncare: 2023」レポートによると、スキンケアやメイクアップ製品にSPFを取り入れるブランドが増加しています。こうしたトレンドは、ミニマルな美容習慣への消費者の関心の高まりとも一致しています。

この「サンケア化」トレンドは、巨大カテゴリーであるスキンケアやメイクアップがミニマルで多機能な形でサンケア要素を取り込んでいる(SPF配合のモイスチャライザー、色付きの日焼け止め、日焼け止め効果のあるルースパウダーなど)ということであり、サンケアという独立カテゴリーの存在意義が曖昧になることを意味します。

一方、気候変動に対する不安の高まりを受け、肌の保護や気候への適応性を求めるニーズも高まると予想されています。アジア太平洋地域のサンケア市場ブランドにとって、これはより幅広い肌のトーンや肌質に適応し顧客を取り込むチャンスとなるでしょう。この記事では、アジア太平洋地域全体のサンケアカテゴリーに影響を与えるトレンドについてご紹介します。

 

日本

日本のサンケアブランドは、サンケアカテゴリーの重要性、使用者との関係構築、そして製品価値を高めるために、SPF訴求だけでなくより幅広い機能や感情的な側面を取り入れていく余地があります

また、テクノロジーを通じて日光にさらされることへの消費者意識を高め、イノベーションを通じて肌保護する機能を強化することもできるでしょう。ブランドが今後範囲を広げられそうなサブカテゴリーとして、アフターサン製品などが挙げられます。

ブランドは、追加のメリットを取り入れることで「より高い価値」を提案することができます。

例えば、カネボウ ALLIEは「透け感ピンク」と「じんわりオレンジ」の2色展開で、チークUVジェルを発売しています。同製品はメイクの上から使用することで、頬に健康的なツヤを与えることができます。    カネボウ ALLIE クロノビューティ カラーオンUV チーク SPF50+ PA++++

出典:Mintel GNPD

日焼け止めは数時間おきに塗りなおす必要があるため、メイクの上からでも重ねやすいSPF製品を提案することにより、消費者は簡単に日焼止めを塗り直すことができるようになりました。塗り直し用の製品は、クッション、スプレー、ミスト、パウダーなど様々な形状をとることができるでしょう。

 

中国

中国では、多くの女性の間で「サンケア化」が注目されており、半数以上が日焼け止め効果のあるベースメイク製品の使用経験があります。また、2022年と比較して、使用率も様々な年齢層で増加しています。サンケアブランドとカラーメイクアップブランドはこれをきっかけに互いの要素を取り入れ、日焼け止め効果と利便性の両方を求める消費者ニーズにより上手く応えていくことができるでしょう。

中国では、使い勝手訴求やアルコールフリー、添加物不使用などのフリーフロム訴求が増加しています。日焼止めの形状については、一般的なトップ3は、ローション、スプレー、クリームです。とりわけ、ローションタイプの敏感肌用の日焼け止め急成長しています

消費者は紫外線予防に対する意識をますます高めており、使用シーンや機会に応じて様々な形状の日焼け止め製品を利用するようになっています。2023年には、日焼け止めスプレーやSPF配合のメイクアップ製品の使用率が2022年と比べて5%増加しています。これらのフォーマットは屋内・屋外で使いやすいだけでなく、塗り直しも簡単なことから、日光を完全に遮断したいと考える消費者にとって安心かつ使い勝手のよいものです例えば、女性消費者の半数以上は、SPF配合のメイク崩れ防止スプレーに魅力を感じると回答しています

メイク崩れ防止スプレー以外にも、サンケア効果を付与したコンシーラーやプレスパウダーなどのカラーメイクアップ製品も注目されており、ベースメイクブランドにとって日焼け止め効果を取り入れるチャンスです。

 

Dr. Lara DevganはSPF 50配合のコンシーラーを新発売(アメリカ)。出典:Dr. Lara Devgan

 

また、中国の消費者は自分に合ったサンケア製品を選ぶことにも慎重です。例えば、中国の消費者の半数近くは「公式ウェブサイトで製品の詳細をチェックし、製品が自分の肌に合っているかを確認する」と回答しており、3人に1人以上は「実店舗で製品を試用している」と回答しています。さらに、中国の消費者はカスタマーレビューを参考にしながらオンラインでサンケア製品について下調べする傾向があり、それでもなおサンプルを購入する人が多くいますつまり、単にレビューを見たり読んだりするだけでは不十分だということです

デジタルディスプレイから発せられるブルーライトや大気汚染への懸念も消費者の関心を集めています。デジタルデバイスは現代の生活に欠かせない要素となっているため、「光老化防止」をコンセプトに取り入れ機能を強化すれば、幅広いユーザー層を獲得できるでしょう。

 

タイ

タイのサンケア市場はすでに確立しており、タイの消費者の87%が毎日サンケア製品を使用しています。シワやシミ、黒ずみなど、日焼けに関連した特定の肌の悩みに市場性があるということです。

ディサンケアでは、軽いテクスチャーで使用感のよいタイプの製品に需要があるでしょう例えばミスト形状の日焼止め形状は今後、屋外での使用に伸びしろがありそうです

美容施術後のスキンケアに特化したサンケア製品は現時点では珍しいです。このことから、フェイシャル美容施術を受けた消費者に向けて、革新的なソリューションを提案することにもビジネスチャンスがありそうです。老化のサインを抑えようと美容施術を受けているタイの消費者の半数近くは、化学物質による肌への刺激を懸念して日焼け止めの使用を控えています。こうした層はまだニッチではあるものの、美容医療に対して抵抗感が弱まり、施術を受ける人が増えている状況を踏まえると、美容施術後のサンケア製品を必要とする人今後増加するとミンテルは予測しています。

顔・体用の日焼け止めやSPF配合のボディモイスチャライザーなど様々なタイプの製品を使用する消費者のうち、5人に3人は日焼け止め使用時のベタつきを気にしており、5人に2人は効果に疑問を持っています。

日焼止めやSPF製品において、使用感にフォーカス、製品の付け心地をさらに改良することにビジネスチャンスがありそうです。ストや冷感のあるタイプなど軽くて快適な使用感の形状や処方は、消費者にとって魅力的だからです

 

Citra’s Watermelon Mint Sun Protection Serum SPF 50 PA++++は、冷感のある付け心地とスイカとミントの香りを組み合わせている。

出典:Mintel GNPD、Citra

 

インド

インドのサンケア市場はここ数年新製品発売が増加しており、パンデミックの余波から回復の兆しを見せています。とはいえ、サンケア製品は使用者にさえ、毎日使用すべきものとしての立ち位置は確率できていません。顔用日焼け止め使用者の23%は「サンケアは毎日のスキンケアルーティンの中で重要なステップではない」と回答しておりサンケア購入者10人のうち3人は「サンケア製品を1日2回以上使用する必要はない」と回答しています。

また、敏感肌の人は、日光にさらされると肌に赤みが出る場合もあります。敏感肌消費者に向けて鎮静効果がある天然成分を配合したアフターサンケア製品を販売することにもビジネスチャンスはあるでしょう

一方、34-42歳の前期ミレニアル世代は、スプレーやスティックタイプなどの便利で革新的なフォーマットのサンケア製品を求めています。しかし、使いやすさ訴求や外出先での使用想定は、サンケア新製品ではまだ比較的少数派です成長の余地は、こうした消費者の関心の高まりを取り入れることにあるでしょう

 

国内ブランドは、スキンケア成分を配合した日焼け止めのイノベーションにも意欲的。出典:Dot & Key(インド)

 

顔用日焼け止めの使用者は、スキンケア効果や成分を配合したサンケア製品に関心を寄せています。インドは、韓国をはじめとする他のAPAC地域市場と比べて、スキンケア成分を配合した製品発売で後れを取っています。このことから、インドの日焼け止め市場は、ヒアルロン酸やナイアシンアミドといった人気のスキンケア成分をサンケアの処方に取り入れることで、サンケアの日常使いを通じて具体的な肌の悩みに対処できることを訴求することができます。

 

ミンテルとともに未来を見据える

アジア太平洋地域のサンケア市場の概況は、消費者の好みと製品イノベーションのダイナミックな交わりを反映しています。スキンケアやメイクアップにSPFを取り入れる動きは「サンケア化」トレンドの成長を映し出している一方、ブランドはサンケア独自の特徴を維持することと、進化する消費者ニーズへの対応を両立しなければならないという課題に直面しています。市場の変化により製品イノベーションの気運が高まったことで、様々な肌トーンや気候変動への懸念に対応する製品、機能を高めるイノベーションなどにビジネスチャンスが訪れています。消費者視点のビジネス戦略を取り入れながらテクノロジーを活用することで、サンケアブランドは変化する市場にも効率的に対応していくことができるでしょう。

ミンテルの幅広い美容・化粧品市場調査を活用して、消費者行動の最新トレンドをいち早く把握しましょう。

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