インドの消費者の健康意識が高まる中、塩味スナック市場は大きく変化をしています。スナック菓子の主成分としてパーム油に依存してきた従来のアプローチが今、疑問視され始めています。インドの塩味スナックに関する最近のミンテルのレポートによると、消費者の39%はパーム油を使用したスナックが体に悪いと回答しています。こうした感情は特に都市部の消費者の間で強く、パーム油不使用製品への需要を押し上げています。 PepsiCoなどの大手企業は人気のLay’sポテトチップスで、パーム油の代わりにヒマワリ油やパームオレインを試験的に取り入れることで対応しています。こうした動きは、健康上の懸念に応えるだけでなく、消費者が製品の成分に透明性を求めるトレンドの高まりも反映したものとなっています。ミンテルの最新の消費者データによると、都市部に住む消費者の50%がパーム油を使用したスナックを体に悪いと感じており、パーム油不使用の訴求品を求める消費者の39%が「パーム油不使用の製品には高い金額を支払っても構わない」と回答していることから、企業はこうした成分の変更を効果的に伝えていくことが不可欠です。このことからも、パーム油不使用の訴求が今後ますます増えるであろうことは明らかでしょう。 こうした変化の中、ソーシャルメディアインフルエンサーは消費者が製品の成分ラベルに注目し、体に悪い脂質の摂取を控えるきっかけとして、大きな存在となっています。「Food Pharmer」として知られるRevant Himatsingkaなどのインフルエンサーは、パッケージ食品にパーム油が頻繁に使用されていることを強調し、健康や環境のためにパーム油の摂取を減らすよう消費者に呼びかけています。 ミンテル世界新商品データベース(GNPD)によると、パーム油不使用のスナック新製品が新製品全体に占める割合は5年前で0.1%とわずかだったのに対し、過去12か月では2.4%まで増加しており、この結果は同トレンドをさらに裏付けるものとなっています。現在、小規模企業はこうした訴求を先んじて活用することで、ヘルシーなスナックを販売する企業として差別化を図っています。 今後、インドのスナック市場ではパーム油不使用の訴求がますます定着すると予想されています。がんや 糖尿病などの慢性疾患(非感染性疾患:NCDs)が増加し、予防医療への注目が高まる中、消費者はより健康的な食習慣を実践し始めています。体に良い脂質を使用した食品への関心の高まりもその一つで、これは企業がパーム油不使用に積極的に乗り出し、体に良い油を製品に使用していることをアピールする後押しとなっています。 インドのスナック業界では、米ぬか油や落花生油がパーム油の代替品として台頭しています。また、マスタードオイル、ヒマワリ油、ココナッツオイルなども、消費者からよりヘルシーな油脂と認識されています。また、企業は商品パッケージ前面で使用している油の種類をアピールしており、これはパーム油不使用の訴求を強調するだけでなく、よりヘルシーな代替油に対する消費者意識を高める上でも役立っています。 同トレンドが引き続き成長する中、企業がより健康的な油の種類やその効果を消費者に伝えることは極めて重要です。消費者の中には、「精製油」が特定の油を指すものではなくパーム油などの油も含まれる、ということを知らないまま精製油を選んでいる人もいます。 結論、インドのスナック市場におけるパーム油不使用のムーブメントは、健康を重視する消費者やインフルエンサーの活動も追い風となり、ますます勢いを増しています。消費者の意識が高まり、より多くの企業がこのムーブメントに参入するにつれ、同トレンドが消費者の購買決定において大きな要素となり、製品の成分でよりヘルシーな代替油が中心となっていくことが予想されます。 企業がこのトレンドを活用するための5つの戦略: よりヘルシーな代替油をアピール:Let’s TryやWellBeなどの企業はそれぞれ落花生油、米ぬか油をうまく活用しており、商品パッケージでもこれをアピールしています。これはパーム油不使用の訴求を強調できるだけでなく、よりヘルシーな代替油に対する消費者教育にもなります。 都市部の消費者をターゲットに:都市部の消費者はパーム油による健康への影響をますます懸念し、パーム油を使用しない塩味スナックの需要を押し上げています。都市部の消費者の50%は「パーム油を使用したスナックは体に悪い」と回答しており、39%は「パーム油不使用製品には高い金額を支払っても構わない」と回答していることから、企業はこうした層に注目すべきでしょう。 地域の好みを探る:インドの様々な地域では異なる調理用油に馴染みがあり、パーム油の代替油の選択に影響を与えています。こうした好みを把握することで、企業は地域の好みに合わせた製品の開発を行うことができるでしょう。 価格の懸念に応える:よりヘルシーな製品には高い金額を支払っても構わないという意欲はあるものの、大半の消費者はまだ迷っています。企業は健康効果とコスパのバランスをとり、関心を購買に結びつける必要があります。 消費者を教育する:消費者は、代替油に関する透明性に疑念をもっています。企業は、パーム油の代わりに使用するよりヘルシーな油の種類やその効果を消費者に伝えることで、信頼性を構築する必要があります。 さらに詳しい情報をご希望の方はinfojapan@mintel.comまでお問い合わせください。