「アイスクリームのニーズはどこにある?」世界のアイスクリームの消費を見てみると答えは「ほぼすべての消費者」です。ミンテルの消費者調査によると、イギリスの消費者の10人に9人が2023年7月から10月の間にアイスクリームを食べており、ドイツでもほぼ同じ状況です。アメリカでも冷凍庫にスイーツを常備しておくのは一般的で、成人の94%以上が2023年にアイスクリーム、冷凍デザート、フローズンヨーグルトを購入しています。

世界のアイスクリーム市場は相変わらず好調で、多くの消費者が「コンフォートフード」(癒してくれる食べ物)としてアイスクリームを楽しんでいます。アメリカでは、アイスクリームを消費する人のうち約10人に9人が「アイスクリームを食べると気分が上がる」と回答しており、アイスクリームが「精神的なサポートに役立つ食べ物」として定着していることがうかがえます。しかし、消費者のニーズも変化しています。健康的な食生活への関心が高まる中、糖分や脂質が多い食品に対する精査はますます厳しくなっています。APAC(アジア太平洋)地域でも同様に、体に良い成分や製品へのニーズは高まっています。当然、アイスクリームブランドもこうしたニーズに応えることが不可欠です。本記事では、アイスクリームの消費者トレンドと、ブランドがアイスクリームのイノベーションにどのように取り組んでいるかをご紹介いたします。

 

「コンフォートフード」とは?

コンフォートフードとは、「ストレスを感じた時などに口にすることで、心の安らぎやウェルビーイングを与えてくれる食品」を指します。ほとんどのコンフォートフードは脂質や糖分が多く、高カロリーで比較的栄養価の低い食品です。人気のコンフォートフードには、ポテトチップスやチョコレート、そしてもちろんアイスクリームも含まれています。

ミンテルのより詳細なアイスクリーム市場調査を閲覧する

 

世界のアイスクリームトレンド

「機能性食品」に「楽しさ」を取り入れる

新型コロナ感染症の流行や、現在進行中の経済危機の影響により消費者のストレスや不安が高まっています。そのためここ数年、人気のコンフォートフードに大きなビジネスチャンスが訪れています。特にアイスクリーム業界は、そのリップスティック効果(厳しい経済情勢下で人々が手の届く楽しみを求める現象)により、インフレからの恩恵を受けることができると予想されています。「手頃な価格のご褒美」としてのアイスクリームの位置付けは、経済危機の時代に生きる消費者にとって魅力的です。

しかしコロナ禍以降、より健康を意識した食生活へとシフトする世界的な動きがあることをミンテルでは伝えています。それでは、プラントベースカテゴリーに倣って代替乳を取り入れ、従来の「体に良くないけれど美味しい」アイスクリームに代わるよりヘルシーな製品の開発に取り組むべきでしょうか?あるいは「ご褒美感」を強調し、コンフォートフードとしての人気に大きく依存すべきでしょうか?答えはそう単純ではありません。ミンテルの消費者調査では、ヘルシーなアイスクリームを好む消費者の間でも、アイスクリームが「真に健康的な食べ物」として捉えられる可能性は低いことが分かっています。実際、よりヘルシーなアイスクリームには高い金額を支払ってもよいと考えるインドの消費者の4分の1が、「アイスクリームが完全にヘルシーになることはない」と回答しています。つまり、アイスクリームは「許容できるレベルの甘やかし」を提供しながら、「健康とご褒美感とのバランス」を取る必要があります。

アイスクリームを購入する際に、栄養が最重要視されることはまずありませんが、アメリカの消費者の4分の1近くは、機能的健康効果のあるアイスクリームに関心を寄せています。ブランドは、高たんぱく質製品に関心を示す若い消費者層をターゲットにすることや、急成長中のエナジードリンクカテゴリーを参考にニーズの高いエネルギー補給効果を取り入れることで、機能性食品としてのアイスクリームの評価を高めることができるでしょう。機能性アイスクリーム市場は依然として小さいものの、成長しています。ミンテルのGNPDデータによると、機能性訴求を掲げるアイスクリームの新製品は、2021年から2023年にかけて10%増加しており、ブランドにとって新製品開発で検討すべきポイントとなっています。

 

冒険心に応える

世界のアイスクリーム業界で消費者の関心を集めているのは、機能性成分や健康効果だけではありません。消費者は新しいフレーバーや食感に対してますます冒険心を抱いています。ミンテルの調査でも、これまでになくアイスクリームのフレーバーへの関心が高いことが明らかになっています。

APAC地域ではフローラルフレーバーへの関心が高まっており、タイでの調査では25-34歳の半数が、こうしたフレーバーを試してみたいと回答しています。また、他の斬新なフレーバー(甘くないフレーバーなど)にも注目が集まっており、ミンテルのGNPDデータによると、2021年以降の新製品の割合は50%以上も増加しています。こうした高い関心にもかかわらず、これまでとは異なるフレーバーはまだまだニッチに留まっています。下記のグラフからも分かるとおり、フローラルやセイボリー(甘くない)フレーバーはそれぞれ2023年に発売された世界のアイスクリーム新製品でわずか1%未満です。ブランドは新しいフレーバーを試したい消費者の関心を無視すべきではありません。また、今後はAIを活用し、消費者個人に合わせてカスタマイズした新たな味覚体験の提供を考えるべきでしょう

 

 

目新しさへのニーズは高いものの、消費者はストロベリー、バニラ、チョコレートなどのアイスクリームの定番フレーバーも引き続き楽しんでいます。イギリスの成人の約3分の2は、より高品質な定番フレーバーのアイスクリームを増やしてほしいと考えています。より高品質な定番フレーバーに対する関心は、消費者が慣れ親しんだフレーバーから得られる安心感だけでなく、より質の高い味や食感を求めていることも示唆しています。また、アイスクリームブランドは馴染みのあるフレーバーにひねりを加えることで、消費者の関心を引くこともできるでしょう。ここでは、古き良き「懐かしさ」の魅力を活用することが重要です。

アイスクリーム業界における最新のフレーバートレンドについてより詳しい情報をご希望の方は、ミンテル Flavourscape AIをお試しください。

 

冷たいアイスクリームの温かさ

「懐かしさ」は世界のアイスクリーム業界に影響を与えており、多くの消費者が子どもの頃や昔を思い出させるフレーバーやブランドに心惹かれています。イギリスでは、幼少期の記憶を思い出すアイスクリームを食べることが、特に35歳未満の消費者から高い人気を集めており、懐かしさを重視したマーケティングが同市場で非常に効果的であることが示されています。しかし、こうした「古き良き時代」を懐かしむのはイギリスの消費者に限ったことではありません。インドでは、アイスクリームブランドが懐かしのフレーバー、特に季節のフルーツフレーバーを活用し、前期ミレニアル世代を惹きつけています。また、ドイツの調査では、10人に8人の消費者が「幼少期に味わったフレーバーを再び楽しんでいる」と回答しており、こちらも懐かしの定番フレーバーが好評です。

こうした理由から、ブランドは「懐かしさ」をマーケティング戦略として捉えるべきでしょう。2023年にはイギリスの多くのレトロブランドがアイスクリームカテゴリーに参入し、BarrattからはAngel Deligh、Wrigley’s Hubba Bubbaなどのアイスクリームが発売されています。また、老舗や大手のブランドはマーケティングキャンペーンでも「懐かしさ」を取り入れています。Ben & Jerry’sは、ソーシャルメディアキャンペーンでローラースケートやラジカセなどレトロなアイテムを活用しているほか、Baskin-Robbinsは2022年のブランドリニューアルでロゴをオリジナルの配色に戻しています。

マーケティング戦略における「懐かしさ」についてより詳しい情報をご希望の方は、ミンテルのNostalgia Marketing Spotlight記事 (英語サイトへ遷移します)をご覧ください。

 

ミンテルとともに未来を見据える

アイスクリームはこれからも、人々に癒しを与える「コンフォートフード」であり続けるでしょう。先行き不安な時代が続く中、消費者がお気に入りのご褒美スイーツを控える可能性は低いことが予想されます。とはいえ、消費者にとって「コンフォート」(安らぎ)が何を意味するかは徐々に変化しつつあります。消費者の中には、アイスクリームを食べることで健康を損ないたくない、あるいはより健康になりたいと考える人もいるでしょう。新たな食体験を求める人、斬新なフレーバーで楽しさを味わいたい人もいるでしょう。心が温まる懐かしさをただ感じたいという人もいるはずです。アイスクリームブランドは新製品開発やマーケティングキャンペーンを検討するにあたり、消費者の様々な期待を認識する必要があります。

 

2024 MINTEL’S MOST INNOVATIVE(ミンテルが選ぶ最も革新的な新商品)

ミンテルでは常にイノベーションを追跡し、トレンドを把握し、インサイトを特定しています。

食品・飲料業界における最新のイノベーションについて詳しい情報をご希望の方は、以下の資料をぜひダウンロードしてご覧ください。

【新アワード】最も革新的であった企業の新商品を選出

『MINTEL’S MOST INNOVATIVE -最も革新的な新商品:2024-』

世界中の最も優れた食品・飲料の新商品開発を称える

MINTEL’S MOST INNOVATIVE(ミンテルが選ぶ最も革新的な新商品)」は2023年に世界各国で発売された商品の中から、最も斬新で、業界に大きな変化をもたらしたとミンテルのアナリストが選定した、魅力的な商品の数々をご紹介する新しいアワードです。

資料のダウンロードはこちら:https://japan.mintel.com/innovation-in-food-drink