不安定な経済情勢の中、消費者が嗜好品を買い控える懸念はあるものの、デザート業界は安定した成長を続けています。そんな中で、アメリカの消費者はデザートの消費行動を変化させているようです。

本記事では、健康的なデザートと嗜好性の高いデザートに対する消費者の認識や、プラントベースのイノベーションがスイーツに与える影響について、消費者がどのように向き合っているのかを探ります。

貴社ブランドは、現在、そして将来のデザート業界のトレンドに向けて備えていらっしゃるでしょうか?

 

健康的なデザートのトレンド — 嗜好品は消えてしまったのか?

嗜好性の高いデザートは、多くの人にとって未だ健在です。これはミンテルのデザート業界の市場データからも明らかで、アメリカの消費者のうち嗜好品を制限している割合はわずか39%です。しかし、嗜好品を制限している人の中では砂糖が最大の懸念だと感じる人が多く、こうした人々は砂糖の摂取量をチェックしています。また、消費者が食料品の買い物で節約しようとするとき、お菓子やスイーツは真っ先に買い物カゴから外されます。このような課題が残るにもかかわらず、デザート業界には消費者を積極的に取り込むチャンスが多くあります。

世界情勢が変化する中で、消費者のストレスレベルはますます高まっています。そしてアメリカの消費者は、そうした中で安らぎのひと時を求めています。複雑な問題を解決してくれるわけではないものの、嗜好性の高い食べ物は他の何よりも「精神に良い」と消費者は評価しています。したがって、ブランドはデザートを「単なる嗜好品」としてではなく、手頃な価格で楽しめる「必要な楽しみ」として位置づけることができます。

ブランドは、すでに製品イノベーションによって、砂糖に関する消費者の懸念にうまく対応しています。その一例が、2023年9月に発売されたKraft Heinzの「砂糖ゼロ」JELL-Oです。同デザートは、ミンテルのパネル調査で同サブカテゴリーを大きく上回り、61%が「購入してみたい」と回答しています(出典:Mintel GNPD)。

JELL-O「砂糖ゼロ」出典: Kraft Heinz

 

砂糖の摂取量に対する懸念が高まる中、アメリカの消費者も体に良い(BFY:better-for-you)製品を探し求めており、プラントベースのデザートのイノベーションが定期的に生まれています。なぜブランドがプラントベースのデザートや、体に良いデザートの新製品に特別な意味合いを持たせる必要があるのか、より詳しく見ていきましょう。

 

体に良いデザートとプラントベースデザートのイノベーションを探る

消費者が嗜好性と健康との間で悩む中、プラントベースや体に良いデザートの選択肢はますます増えています。幅広いセレクションの中から、消費者は贅沢なひと時を求めるニーズと、プラントベースのヘルシーな魅力を組み合わせることができるようになっています。それに対して、ブランドは両方の期待に応えることが課題となっています。

アイスクリームのイノベーションに目を向けると、プラントベースのデザートブランドは有望なものの、乳成分由来の製品と同じクリーミーなコクを再現する上で苦戦しています。大手ブランドWildgoodが発売するWildly Creamyプラントベースアイスクリームは、この点で満足のいく製品に仕上がっています。一方で、乳成分製品と同じくらいの贅沢感をプラントベース製品に求めるアメリカの成人は、わずか10人に3人となっています。したがって、健康やヘルシーさのために嗜好性を妥協しても構わないと考える消費者に向けてアピールできる余地があるでしょう。

食品・飲料のサステナビリティに対する消費者の需要が高まるにつれ、サステナビリティ訴求がますます求められるようになっています。「環境にやさしい」訴求のクッキー製品は、過去5年間で発売が大幅に増加しています。このことからも、サステナビリティは再び重要性を増しているといえます。ブランドはサステナビリティを重視し、消費者に「責任のある楽しみ」を提供することで、デザート消費にまつわる罪悪感を取り除くことができます。

プラントベースデザートと体に良いデザートのイノベーションに関しては、特別な意味合いを込めたアプローチが不可欠です。消費者の好みはそれぞれ異なるため、ブランドは特定のニーズに基づいたターゲット層に重点を置く必要があります。万人受けするソリューションは存在しないことからも、消費者のエンゲージメントを獲得する上でデモグラフィック・ターゲティングが重要な役割を果たすでしょう。

 

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