ヘアオイルを頭皮につけるのは昔からある一般的な使い方ですが、髪を柔らかく強くすることが主な目的でした。現在、世界的に髪について語る際に注目を集めているのは、頭皮の健康です。頭皮は髪の健康に大きな影響を与え、顔の皮膚と同じように手をかけるべきである、と消費者に認識されるようになりました。そのため、ヘアオイルも頭皮の健康と共に語られるようになりました。

本記事では、ミンテルのインドオフィスに在籍するビューティー&パーソナルケア主任アナリストであるターニャ・ラジャニより、インドのヘアオイル市場の最新情報をご紹介いたします。

 

世界をリードするインドのヘアオイル市場

過去5年間のミンテル世界新商品データベースを見ると、インドは世界のヘアオイル市場をリードしています。ミンテルの調査によると、平均的なインドの消費者は少なくとも3種のヘアオイルを使用しています

インドの消費者の52%が、脂っぽい/汗をかきやすいなど、特定の頭皮の悩みに特化したヘアオイルに興味があると答えており、メーカーはヘアオイルのマーケティングを見直す時期に来ています。

インドで発売されるヘアオイルの5本に4本は植物/ハーブ由来成分を訴求していますが、クリーンビューティ(使用者や環境にとって無害なビューティー製品)や頭皮ケアといった美容トレンドを訴求する新進ブランドも出てきています。使い易いパッケージや洗い流し易さといった利便性で消費者を惹きつけるという手もあります。

インドの消費者の42%が頭皮の状態に特化したヘアオイルに関心を持っている、など頭皮に対する関心が高まっている今、メーカーは拡大のチャンスをつかむためにこの変化に対応すべきです。

以前からヘアオイルの主な使用目的は髪に焦点があたっており、頭皮は注目されていませんでした。しかし、インドの消費者の悩みトップ3が薄毛(38%)、汗をかきやすい頭皮(33%)、脂っぽい頭皮(33%)であることから、ヘアオイルはヘアケアと頭皮ケア両方に使用目的を定めることが求められています。

インドの消費者は新しい美容体験に前向きで、42%が新しい美容・グルーミング製品を見つけて楽しんでおり、36%が過去3か月間に試したことのない新しい美容製品を購入しています。さらに31%のインドの消費者は、過去3か月間にオンラインの美容コンテンツに関わったと答えています。

地球温暖化により世界中で気温の急上昇が記録されています。2022年夏、インドは最悪の熱波に見舞われ、複数の都市で43°C(110°F)を超えました

熱はバクテリアの増殖を促し、皮膚や頭皮に問題を引き起こします。インドの消費者の4分の3近くが頭皮の悩みを経験していると答えており、製品購入時に頭皮ケアを重要視すると思われます。

今後のヘアオイル開発にあたり、使い易さに焦点を置くのも一つの方法です。ミンテルの消費者調査から、ヘアオイルを使用する際の主な2つの問題点が、頭皮や髪から洗い流しにくいことと、旅行時に持ち運びにくいこと(それぞれ37%)、であることが明らかになっています。

 

進化するヘアオイル市場におけるブランド戦略

現在、インドのヘアオイルは髪に強さを与え抜け毛を防ぐことに重点を置いていますが、脂っぽい頭皮、汗をかきやすい頭皮、フケなど、他の悩みに焦点をあてて成長のチャンスをつかむという手があります。

また、更に細かい顧客からの要望に焦点をあてることも成長につながります。

消費者は健康に高い関心を持っているため、クリーンビューティに焦点を当てることも成長のチャンスにつながるでしょう。例えば、都市部に住む男性にチャンスがありそうです。都市部に住む男性の39%がクリーンビューティの1つであるオーガニックに興味を持っています。オーガニックヘアオイルで、これらの要望に応えることができます。

メーカーが模索すべきもうひとつの道は、使い易さでしょう。消費者はヘアオイルの感触が重いことをわずらわしいと思っており、夏場でも日中使用でき、洗い流しやすく、美容液のように軽い仕上がりのオイルを販売すれば、受け入れられるでしょう。

最後に、メーカーが忘れてはならない最も重要なことは、オイルが頭皮と髪の健康にどのように寄与するのか、消費者が納得するよう伝えることです。

 

日本や世界各国のヘアオイルに関する消費者データにご興味のある方は、ミンテルジャパンまでお問い合わせください。

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