Amazonはアメリカのオンライン買い物客が最も多く利用するブランド(84%)としてその地位を確立していますが、Z世代など一部の消費者はEコマース最大手の同社に対し、多角的かつ新しい見方を投げかけています。 ミンテルのデータによると、Z世代(アメリカの場合、14歳~27歳)の買い物客の半数近く(47%)がAmazonでの買い物を積極的に控えようと心掛けており、これはベビーブーマー世代(60 歳~78歳)の20%、ミレニアル世代(28 歳~ 44歳)の40%と比較しても高い割合となっています。 また、Z世代の買い物客の10人に6人(60%)は「Amazonは影響力がありすぎる」と回答しており、39%は「Amazomについて聞き飽きた」と回答しています。

 

Eコマースの先駆者として、Amazonは引き続き市場シェアを伸ばしています。 ミンテルの調査によると、2024年にはEコマースの売上高が1兆2,000億ドルに達し、2023年から9%増加すると考えられています。この成長はそのまま継続し、今後5年間(2024-28年)では36%の増加が予想されています。

 

ミンテルの小売・Eコマース担当クライアントアドバイザー兼アソシエイトディレクターDiana Smithは次のように述べています。

「Amazonの魅力は、引き続き多くのオンライン買い物客から高い支持を集めるでしょう。 しかし、Z世代の買い物客にとってAmazonは必ずしも第一選択肢ではありません。 彼らの購買習慣からは、プライバシーよりもパーソナライズが重視されていることがわかります。 Z世代は新しいブランドを開拓したいという意識が強く、これはAmazonの大衆向けの魅力と必ずしも合致するものではありません。 Amazonをはじめとする大手小売業者は、Z世代に向けた戦略を見直し、この層からのロイヤルティを高める必要があるでしょう。 重要なのは、Z世代がどのように思考し、買い物し、自分たちを取り巻く環境を捉えているのかを把握すること。つまり、個人にパーソナライズしたユニークな買い物体験がカギとなるでしょう」。

「小売業者は、企業の社会的責任(CSR)を通じてコミュニティでの存在感を積極的にアピールすれば、Amazonとも十分に競争できるでしょう。 ブランドは意義あるCSRへの取り組みを通じて、地域に根差した事業精神を体現することができます。 事業を展開するコミュニティに積極的に参加し、顧客を巻き込み、誠実な信念を持って活動を主導していくことが重要です」。

 

消費者はAmazonプライムの代わりとなるサービスに前向きな姿勢

Amazonプライム会員数は全世界でおよそ2億に上り、アメリカでは2020年から33%増加した1億4860万人(74%)が加入しています。 成人の4人に3人近く(73%)が「Amazonはお気に入りのショッピングサイト」だと回答し、その大半(65%)がAmazonからオンラインショッピングを始めている一方で、プライム会員に関しては引き続き他の選択肢にもオープンな姿勢を見せています。アメリカの成人の5人に1人(19%)は「他の企業が同じような特典のあるサービスを提供した場合、Amazonプライムを退会する」と回答しています。 また、アメリカの消費者はNetflix(46%)やSpotify(28%)などの競合サービスをより積極的に利用しており、プライム会員の3分の1以上(36%)はWalmart +(アメリカ大手スーパーWalmartの定額サービス)にも加入しています。

 

「Amazonプライム会員は平均で3つの特典しか利用しておらず、最も人気なのが配送特典、Prime Video、Amazon Music Primeです。 Amazonは会員に対し、プライム特典を最大限に活用するよう積極的に呼びかける必要があります。 顧客ロイヤルティは約束されているものではありません。 会員が企業のエコシステムにより定着するほど、ロイヤルティを維持できる可能性が高まります。 Amazonは、全てのプライム特典に年会費以上の価値があることをアピールすることで、一部の非会員を取り込むことができるでしょう。これにより現会員の満足度も高めることができるはずです」と、Diana Smithは結論付けています。

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