〜台頭するパワーカップル、お金で実現する理想の関係〜 ロンドン本社を含め13か国にオフィスを構える市場調査会社「Mintel Group」の日本法人であり、美容やライフスタイル、食品・飲料分野におけるグローバル調査に強みを持つ、株式会社ミンテルジャパン(東京都千代田区)は、昨年11月に発刊したミンテルジャパンレポート「パワーカップルのライフスタイル – 日本 – 2023年」および今年5月に発刊した「スマートホームトレンド – 日本 – 2024年」の中で、日本のパワーカップルの実態と、ライフスタイルの傾向について明らかにしました。 ※ミンテルは美容やライフスタイル、食品・飲料分野における消費者調査に強みを持つ市場調査会社。2021年より日本市場向けに ミンテルジャパンレポートを発刊。 ミンテルジャパンレポートについて詳しくはこちら:https://japan.mintel.com/nihon-repoto 11月22日の「いい夫婦の日」に、現代の夫婦関係について考察してみましょう。OECDのデータによると、日本の可処分所得は世界平均を下回る中、共働き世帯が全体の7割近くを占め、世帯年収1,000万円を超える“パワーカップル”の割合が増加しています。若い世代を中心に広がる“男女ともにキャリアを重視する”という価値観や、将来への経済的な不安が、この傾向を後押ししているといえます。 注目すべきは、経済的な余裕が夫婦関係の満足度にも影響を与えている点です。パワーカップルの女性の場合、配偶者への不満は14%にとどまり、非パワーカップルの2割強と比べて低い水準となっています。その背景には、パワーカップルは非パワーカップルよりも積極的に便利家電や家事サービスを活用していることがあると思われます。非パワーカップルよりもこれらの時短製品・サービスを利用・継続意向のある人の割合は10ポイント以上高い状況となっています。 かつて夫婦には「愛があれば十分」と言われていましたが、現代は効率性と利便性を重視する“時短革命”の時代へと変化しています。家事負担の偏りという課題に対して、経済力で解決を図るパワーカップルの選択は、現代における新しい夫婦の幸せの形を示唆しているのかもしれません。家事代行サービスや仕事のパフォーマンスを向上させる商品は、共働きで忙しいパワーカップルが求める「ゆとり」を提供する可能性を秘めており、価値観の変化が新たなビジネスチャンスを生み出しています。 本レポートでは、台頭するパワーカップルの実態や、経済的余裕が夫婦関係に与える影響、そして変化する夫婦の理想の形について、記載しています。 世界平均と比べ自由に使えるお金が少ない日本 若年層のキャリア志向と価値観の変化でパワーカップル化が加速 収入から支払いを義務付けられている税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた「自由に使えるお金(手取り)」(=可処分所得)がいくらあるかは豊かさの指標の1つです。OECDによると、OECD諸国全体の平均家庭の1人当たり可処分所得は年間30,490ドルとなっています。アメリカは大きくこれを上回り他国を引き離し、EU諸国ではドイツがトップです。一方、日本はOECDの平均を下回っています。 出典: World Population Review https://worldpopulationreview.com/country-rankings/disposableincome-by-country World Population Reviewのデータを基にミンテルで作成 そんな中、共働き世帯が全体の7割近くとなる日本。そのうち世 帯年収1,000万円を超える世帯は16%で、市場における存在感 は増しつつあります。パワーカップルの定義は様々ですが、一般的 には夫婦共に高収入で、少なくとも世帯年収が1,000万円を超え る共働き世帯をイメージして使われるようになりました。 パワーカ ップルが生まれた背景には、従来の家庭観および労働環境の変化 があると言えます。1986年に男女雇用機会均等法が施行され、 1996年には女性の大学進学率が短大を上回る結果になりました。 結婚・出産後もキャリアを諦めない流れが生まれ、女性の社会進出 によって男女間の賃金格差も縮まってきたようです。 若い世代ほど、男女問わずキャリアを積むのは当たり前だという 価値観を持ち、経済的な不安も影響し、共働きがスタンダードにな りつつあることから、今後もパワーカップルは増加することが予想 されます。 出典: 中央公論新社『夫婦格差社会-二極化する結婚の形』 https://www.chuko.co.jp/shinsho/2013/01/102200.html ミンテルジャパンレポート 『パワーカップルのライフスタイル – 日本 – 2023年』に掲載 パワーカップルの女性、パートナーへの不満14%と低水準 経済的余裕が夫婦関係の満足度を向上? 家族の人数が減少することで、各自負担する家事は増加する傾向にあると言えます。大手給湯器メーカーのリンナイによると、夫婦の家事負担は、妻に大きく偏っていることがわかります。また、「やってほしいと思う家事」に関しては、女性の多くが掃除および育児や介護を挙げていることから、掃除を行うスマートホーム機器は数多く登場していますが、育児や介護などを助ける機器の登場が期待されていると言えます。 出典:ミンテルジャパンレポート 『スマートホームトレンド – 日本 – 2024年』より』 調査対象: 全国の20代から60代の既婚男女2,350人 出典: リンナイ株式会社「「夫婦の家事分担」に関する意識調査」 ミンテルが行った消費者調査によるとパワーカップル、非パワーカップルに関わらず、女性は、男性が配偶者/パートナーに感じている以上に、配偶者/パートナーに対して家事に非協力的であることに不満を持っていることが明らかになりました。 しかし、パワーカップルでは配偶者/パートナーに不満を持っている女性は14%であり、非パワーカップルの2割強と比べるとその数値は低いことがわかります。 経済的に余裕がある分、生活を便利にする製品やサービスを駆使することができ、さらに経済的余裕が心の余裕につながっているとも予想できます。 出典:ミンテルジャパンレポート 『パワーカップルのライフスタイル – 日本 – 2023年』 調査対象: 日本:既婚の25-59歳のインターネットユーザー1,259人 出典: 楽天インサイト/Mintel、2023年5月 パワーカップルの4割が家事代行に関心 時短・効率化重視で便利家電の利用も他世帯を上回る ミンテルが行った別の消費者調査によると、パワーカップルは非パワーカップルに比べて、便利家電や家事サービスなどの利用が進んでいることが明らかになりました。便利家電や家事サービスを利用できるだけの経済的余裕があることに加え、それだけ多忙であり、時間を調整しようとしていることの現れでもあると言えます。 出典:ミンテルジャパンレポート 『パワーカップルのライフスタイル – 日本 – 2023年』 調査対象: 日本:既婚の25-59歳のインターネットユーザー1,259人 出典: 楽天インサイト/Mintel、2023年5月 一方、人の介在するいわゆる代行サービスは、パワーカップルでも既に利用している人は1割前後と、それほど多くはないことがわかりました。しかし、掃除代行や家事代行で4割近く、洗濯代行が2割強、ベビーシッターでも2割近くが、利用したことはないが「興味はある」と回答しており、これらのニーズの高まりが伺えます。 出典:ミンテルジャパンレポート 『パワーカップルのライフスタイル – 日本 – 2023年』 調査対象: 日本:既婚の25-59歳のインターネットユーザー1,259人 出典: 楽天インサイト/Mintel、2023年5月 ビジネスチャンス 共働きで忙しいパワーカップルが求めているものは「ゆとり」です。家事の時間を減らしたいと考えているパワーカップルは、家事代行サービスに強い関心を持っています。このニーズをうまく捉えれば、新たなビジネスチャンスが生まれるでしょう。 また、常に高い成果を求められるパワーカップルは、仕事の効率を上げてくれる商品やサービスにも注目しています。パワーカップルは時間とパフォーマンスを向上させるためのサービスや商品に関心が高いと言えるでしょう。 ミンテルジャパンレポートについて詳しくはこちら:https://japan.mintel.com/nihon-repoto ■ミンテル ジャパンレポートについて 新製品開発のヒントになるグローバルトレンドと日本におけるその意味について理解を促し、日本市場における商機を探るレポートシリーズ。「美容・化粧品」、「ライフスタイル」、「食品・飲料」分野のレポートをサブスクリプション方式でご提供しています。グローバルと日本、双方の視点でトレンドを捉えることが可能です。 ■ミンテル 世界新商品データベース(GNPD)について 世界86ヵ国の日用消費財の新商品を、原料や訴求内容から検索することができるデータベースです。世界各国に配置されたミンテルの調査員が、日々新商品の収集を行うことで、毎月約4万点の商品パッケージ情報をデータベース化し、GNPDを構築しています。商品のあらゆる情報を掲載しているため、様々な視点から世界の製品トレンド分析を行うことが可能です。 ■市場調査会社ミンテルの強み ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、GNPDに蓄積されたデータや独自の消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しており、「消費者が何をなぜ求めているかを探るエキスパート(Experts in what consumers want and why.)」をコーポレートスローガンとしています。 ■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン) ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。 その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。