先週、私は2018年NAB(全米放送事業者協会)展に参加しました。この展覧会は、ビデオ&ラジオ業界の人々だけでなく、マーケティング担当者にも関連するコンテンツを紹介するものです。

4日間の展覧会を通して、私は、コンテンツ制作の現状と今後の方向性について多くを学ぶことができました。ここでは、NAB展を通して得られたマーケティング担当者に向けた4つのポイントについて皆さんにお伝えしたいと思います。

1. エコーチェンバー現象の影響を受けないパーソナライゼーション

近年、多くのマーケティング関連の会議でテーマとなってきたとおり、コンテンツのパーソナライズは注目を集めています。テキスト、ビデオ、オーディオを分析し、視聴者がいつ、どこで、どのようなコンテンツを見ているかを識別する人工知能(AI)の精度はますます高くなっています。プロバイダーは、コンテンツのパーソナライゼーションが可能になればなるほど、視聴者が離れていく確率が低くなることに気づいています。広告業者は、適切な消費者に適切な広告を提供することができれば、消費者の関与が高まり、購入に繋がる可能性も高くなるのです。

しかし、今回の展示会では、コンテンツのハイパーパーパーソナライゼーションと、エコーチェンバー現象を崩壊させるほどの斬新さを兼ね備えた新たなソリューションを見つけることはできませんでした。
コンテンツがパーソナライズされればされるほど、同じ内容の反復を克服する方法を見つけることができるマーケターが傑出し、注目される可能性は高くなるでしょう。

2. 解約率を予測するAIの性能が高くなればなるほど、再エンゲージメントに向けたマーケティングの取り組みは増大する。

Ooyala(ウーヤラ)主催の素晴らしいセッションでは、デジタルメディアおよびエンターテイメントクラウドCRMとeCommerceプラットフォームを手掛けるMPPグローバル社のCEOであるポール・ジョンソンは、解約率の予測に機械学習を適用する方法について話し、MPPグローバル社は既にユーザーの中から、次月に解約する人の90%を特定することができると説明しました。このような能力を活用できれば、マーケターはリエンゲージメントの対象者を特定できるでしょう。そうなれば、今後、特別なキャンペーンや教育的取り組みなどの先を見越したリエンゲージメントの取り組みが、メール、アプリケーションメッセージング、ダイレクトメッセージに多く見られるようになることでしょう。

3. 経験は(未だに)全てであるが、今では経験はバーチャルとリアルの混合である。

私は、オーグメンティッドリアリティースペースの多くのリーダーと共にパネルを主催しました。その1人であるNatascha FrenchのCMOであるVntanaは、Natascha French社がホログラムを使用して、どのようにバーチャルに命を吹き込んでいるかについて語ってくれました。例えば、ナイキがホログラムのフットボール選手を使って、新しい高校のジャージを宣伝した方法を紹介してくれました。
別のセッションでは、アメリカンエクスプレスとそのパートナーであるラディカルメディアが、アメリカンエクスプレスのミュージックアプリによって得られるジャスティン・ティンバーレイクの新AR体験のデモを行いました。このデモでは、ジャスティン・ティンバーレイクがユーザーに歩み寄りながら、最新アルバムに関するインスピレーションをどのように得たかを教えてくれます。これらの企業は、ストーリーテリングの質を高めると同時に、顧客を喜ばせ、ロイヤルティーを高め、従来のマーケティング手法では獲得する確率が低い顧客のブランド認識を高めるようなユニークな体験を実現するために、技術を活用することの重要性を強調しています。

4. 優れたマーケティングキャンペーンに莫大な予算は必要ない。

NABは、単に、専門的で高予算のコンテンツ制作についての展覧会ではありません。実際、専門家たちは、コンテンツ制作者たちが限られた資源でコンテンツを制作できるプラットフォームについて話し合い、展覧会を通して、ユーザー作成型のコンテンツがホットな話題となっていました。この話題で最も興味深い話の一つが、NASAのニュース&ソーシャルメディアディレクターであるヴェロニカ・マクレガーが紹介したものでした。彼女は、NASAにはマーケティング予算がないため、ライブストリームイベントやインフルエンサーに重点を置いたソーシャルメディアを使って、認知度を高めたと説明しました。

NASAは、インフルエンサーに彼らの体験を彼らのオーディエンスと共有することと引き換えに、科学者と会い、NASAの舞台裏を体験する特別VIPイベントに招待する(交通費は自己負担)ことによって、インフルエンサーとの繋がりを構築しました。NASAは、特にNASAの大ファンではないオーディエンスを持つソーシャルメディアのインフルエンサーを意図的に選んだのです。このアプローチは、このブランドにとって大成功となりました。実際、インフルエンサーたちは、政府機能が一時遮断した時も、ハッシュタッグ#whatnasamighttweetを使って、ソーシャルメディアの責任を果たしたのです。ただし、NASAは特別なケースです。NASAは忠実な宇宙ファンというオーディエンスをすでに有しているブランドです。しかし、多くの緊縮予算のブランドでも、ソーシャルメディアの力を活用することによって、エンゲージメントと認知度を高めることは可能です。