消費者が「何を」「なぜ」求めているかを探るエキスパートであるミンテルは本日、2023年、そして今後5年間とその先の世界の消費者市場に影響を及ぼすと示唆される5つのトレンドの内容を解禁しました。これらのトレンドは、消費者行動における7つのコアドライバー(アイデンティティ、権利、環境、体験、テクノロジー、ウェルビーイング、価値)を軸に構成されています。トレンドをまとめたレポートは2月中にも発表予定です。

「私」というメンタリティ: 消費者は改めて自分自身に重点を置き、ブランドは消費者が主役になれるよう支援します。

パワー・トゥ・ ザ・ピープル(人々に勇気を): ブランドは、「C」で始まる最高責任者(例:CEO)に新たな「C」、すなわち「Consumers(消費者)」を迎え入れなければなりません。ブランドは一歩下がることで、消費者がクリエイティブなイノベーションの中心となることを促せます。

過度の疲労感: 消費者は、雑音を排除して、自分にとって重要なものにアクセスしようとします。

国際的なローカリズム (地元意識): 地元で購入することは、消費者が経済、環境そして心理の面で自分自身を守り、地元に恩返しをしていると感じられる方法となります。

意図を持った消費: 柔軟性、耐久性、サステナビリティといった要素は、消費者の価値観においてますます重要な役割を果たすようになるでしょう。

太平洋地域(APAC)担当ディレクター、マシュー・クラブは、2023年以降に市場、ブランド、消費者にどのような影響を与えるかについて下記のようにコメントしています。

「私」というメンタリティ

「この2年間、消費者はコミュニティマインドを持ち、自分たちのニーズを後回しにして、公衆衛生と安全を優先してきました。しかし今や パンデミックから抜け出しつつあることで、自分自身を再び重視したいと願っています。」

「消費者が自分のアイデンティティの新たな部分を築こうとするとき、ブランドは、消費者のスキルを伸ばし、新たな分野の専門性を習得するのに役立つ製品を提供することで、目的達成までのギャップを埋めるサポートを行うことができます。消費者が自分の盲点を理解し、積極的にそれを克服しようとすることで、メンタルヘルスやウェルネスに焦点を当てた製品の需要が高まると考えられます。消費者は、バーチャル・テクノロジーに慣れ親しむにつれ、自分のどの部分をこのようなデジタル空間で過ごすのかをコントロールしたいと思うようになります。消費者は、新興のメタバースを利用して、デジタル寛容に適した独自のアイデンティティを確立していくと思われます。その結果、消費者が、プラットフォームや状況に従って自分自身のさまざまな部分をオンラインで表現するという断片化されたアイデンティティが生み出されることになります。そしてそれに伴い、層的なものになることから、データプライバシーや消費者保護に対する動きも強まっていくことでしょう。」

パワー・トゥ・ ザ・ピープル

ブランドは、「C」で始まる最高責任者として新たな「C」、すなわち「Consumers(消費者)」を迎え入れる余地を確保する必要があります。消費者は、自分たちのお金と意見によってブランドを形成しつつあります。この考え方は、ブランドが「顧客は常に正しい」と譲歩するということにとどまるものではなく、消費者がブランドと一緒に投資し、共創し、変化を求めて投票するモデルへと進化しています。こうした要望に応えるために、ブランドは一歩下がった場所で耳を傾けつつ、一方の足をアクセルペダルに乗せながら、市場のイノベーションを生み出していく必要があります。

NFT(非代替性トークン)とWeb3コミュニティは、消費者がブランドに投資するための新しいチャネルを開拓しています。NFTの目新しさは 薄れつつあるとは言っても、これらのデジタル 資産の有用性は高まっています。

過度の疲労感

様々な危機に晒される中で、消費者は多岐にわたるメディア記事やデジタルコンテンツに囲まれています。パンデミック、生活費の高騰、エネルギー危機、地政学的不安、気候変動などは、いずれも消費者を疲弊させ、圧倒するものであり、 このような状況は今後も続くことでしょう。

「消費者は、周囲の環境や地域社会、そして自分自身と再びつながることによって、意味や安らぎを見出し、目的意識を取り戻すことでしょう。また慈善活動や、刺激的なブランドとのコラボレーションから生まれた地域密着型のプロジェクトは、疲労レベルを下げ、自分を管理する力を得られるとともに、経済的な逆境の中で前向きな見通しを立てる上で本質的な役割を果たすでしょう。5年後には、ブランドは、テクノロジー、ウェルネスおよびレジ ャーの領域において消費者がリソースと健全な形でつながることができるように、あふれ返る情報やイニシアチブに秩序をもたらすための境界線を定める必要があるでしょう。

国際的なロ―カリズム

「世界に数多くの不確実性(経済、サスティナビリティ、サプライチェーン、紛争など)が存在する中、地元にある資源を守り、地域のビジネスを活性化させようとする動きが強まると予想されます。これは、パンデミックの余波ということもありますが、自分にとって何が重要であるかという、消費者の意識の変化を反映したものでもあります。また「地元」への回帰は、消費者が経済、環境そして心理の面で自分自身を守り、地元に恩返しをしていると感じられる方法となります。」

「消費者は、生産し、販売する製品に真正性を証して、本能的に反応するようになります。消費者が、自分のいる場所ではなく、製品が製造されているコミュニティを支援することを意味するようになるでしょう。そして消費者はこれからも、最も重視する品質について見極めるようになるので、ブランドの主張が試され、透明性がより厳しく評価されるようになるでしょう。」

意図を持った消費

「消費者は、自分にとって、価値が何であるかを改めて考え、その結果、より意図を持って消費するようになっています。厳しい経済環境の中で消費者は、生活の質を犠牲にすることなく、経済的に賢明な選択をしたいと考えています。」

「消費者が、より長持ちし、複数の用途に使用できる製品を購入して所有するようになることから、耐久性や柔軟性があって、古びたりしないことを重視するようになると考えられます。付加価値を謳った商品(環境にやさしい、地元密着型、送料無料など)が飽和状態になるのにつれて、消費者はより懐疑的になり、目が肥えていくでしょう。」

「5年後、さらにその先には、自分が属する業界、国、コミュニティが直面する長期的な(そしてあまりにも長い間対処されないままになっている)課題に取り組む、具体的な計画やイノベーションを持った目的志向のブランドが出現することが予想されます。消費者は目的の中に価値を求め、利益を上げるのと同時に、変化を生み出す信頼の置けるブランドを支持することで、日々の消費の選択が自分たちの目指す未来と一致させるでしょう。」

ミンテル・トレンドのグローバルアナリストチームへのインタビューは、ミンテルプレスオフィスにお問い合わせください。グローバル消費者トレンドは、現在無料でダウンロード可能です。