即席麺は、北アジアが世界をリードしています。人口の多い中国は即席麺の最大の市場(数量ベース)であり、韓国は一人当たりの消費量でトップに立っています。日清が初めて即席麺を発明した日本は、イノベーションの本場です。過去2年間に世界で発売された即席麺の新製品のうち、約3分の1(32%)が日本で発売されています。そのため、北アジアの市場は、新たなトレンドを見極める場所となっています。

日本で栄養強化に焦点を当てた即席麵の発売が急増

インスタントラーメンは、手軽で簡単な食事の解決策として認識されていますが、栄養面では少々妥協した選択と言えます。しかし、ビタミン、ミネラル、カルシウムを強化したインスタントラーメンは、栄養価が高く、便利な食品を求める消費者にアピール性があります。また、大麦などの健康素材を使用した新製品も登場しています。

特に日本の即席麺は、カルシウムやビタミンB1、B2などの栄養素を強化した商品を発売するなど、消費者の健康志向に応えています。Mintel GNPD ( 世界新製品情報データベース) によると、日本で発売されている即席麺のうち、14%がビタミン・ミネラル強化型で、カルシウムが添加されています。

Mintel GNPD(世界新製品情報データベース)から、栄養成分を謳った例をいくつかご紹介します。

わかめの栄養

ごま醤油味のわかめ麺は、わかめの量が通常品の3.5倍(日本)

 

栄養価の高いスープ

野菜タンメンの創味シャンタンスープねぎ油添え は、創味シャンタンスープをベースに、ねぎ油、野菜のうまみ、オイスターエキスを加えています。(日本)

食物繊維に特化

明星 おいしさまるっと!玉ねぎラーメンは、野菜のうまみとレタス約3個分の食物繊維を凝縮したと説明されており、コクのある白い鶏ガラスープが特徴です。

即席麺にも植物性のトレンド

北アジアでも、植物性食品のトレンドが始まっています。消費者の植物性食品に対する関心を利用したインスタントヌードル製品は、個人の健康と環境にやさしい製品を提供することができます。

日本では、IKEAが2020年に、従来のインスタントラーメンに代わる健康的な商品として独自の植物性インスタントラーメンを発売しました。100%植物性のラーメンは、添加物を使用せず、ノンフライ麺で、森林破壊につながるパーム油も使用していません。

低糖質がトレンドに

北アジアの消費者は体重管理に高い関心を示しており、糖質の低い食品インスタントラーメンの成長も期待されます。Mintel のデータによると、日本の消費者の17%が糖質カットダイエットを実践しています。実際、低糖質製品はまだニッチで、ほとんどがダイエッター向けのものです。 しかし、北アジアでの体重管理への関心の高まりを受けて、糖質の低い食品に注目が集まっています。

例: 日本を代表するインスタント食品ブランドであるエースコックは、2つの人気レストランとコラボレーションし、糖質の摂取量を気にする消費者に向けて、植物性タンパク質を使用した低糖質即席ラーメンを発売しました。

Source: Acecook

機会

消費者の健康志向が高まる中、即席麺製品は健康面での訴求力を高める必要があります。即席麺は、長い間、不健康で栄養不足になりやすいというイメージがあり、それが消費の妨げになっていました。この課題を解決する点において、日本市場はリードしています。