1. 南アフリカ – ゴミからエネルギーへ

南アフリカのテクノサームは、埋立地にあるバイオマスをエネルギー供給のためのガスに転換する方法を発見した。テクノサームはサーマル製品の供給および製造を行なっている企業である。熱分解技術を使ってバイオマスを熱分解プロセスへ送ると、生成されたガスの収率は処理開始時の乾燥したバイオマス重量に対して最大85%にもなる。この技術は埋立地への依存を減らし、南アフリカのパワーグリッドに対する負担を軽減するために利用できる。さらにリサイクル率を上げて政府目標の達成に一役買うことにもなり、テクノサームは競合他社の設計よりも高い収益性を主張している。

地球資源の持続に対する関心は高まる一方である。消費者はより環境を意識した行動を取るようになり、ブランドにも同様の行動を期待する。ブランドの多くはより環境に優しいエネルギー源を利用し、カーボンニュートラルを宣言し、リサイクル施設を提供することで消費者がより環境に優しい生活に移行できるようサポートしている。食品廃棄物についての関心も高まってきて、各ブランドはコーヒーの出し殻のような製造工程の副産物を、陶器や輸送用燃料といった新しい物品に転換している。このような活動を大規模に行える手段があれば、地域社会は廃棄物による汚染を低減でき、より持続可能で健康的な未来を支えることができる。

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  1. 日本 – もう、うんざり

日本の賃貸住宅サービス、カソクは夫婦が互いに一時的な距離を置くためのプログラムを開始した。

日本は4月半ばに緊急事態宣言が出されたため多くの消費者は長期間自宅にこもることになった。これによりストレスや在宅勤務によるフラストレーションが溜まっていき、結果として夫婦のいさかいも増えた。#coronarikon(コロナ離婚)というハッシュタグの流行は、価値観、特にウィルスへの対応の相違を実感して離婚を考える夫婦の増加を反映している。世界的流行の不安な中で、消費者は人生における優先順位を考え直し始め、このような一時的な宿泊施設サービスを利用することで、自分たちの関係が今後の精神的な投資に見合うものなのかどうかを熟考できる。

いくつかの都市では解除され始めたものの、日本の緊急事態宣言は5月末まで延長されている。これによって距離を置く時間が必要な夫婦や、特に家庭内暴力にさらされる弱者がさらに増える傾向にある。今後の改革は、オンライン離婚サービスや保護プログラムといった、迅速な離婚手続きに向けた法律相談を要する消費者をターゲットとするべきだろう。

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ジョイス・ラム – トレンドアナリスト(アジア・パシフィック)

中国午前4時のコンサート

 華為(ファーウェイ)は、自社のスマートウォッチを使い若い母親たちの睡眠データを収集。このデータを楽曲へと変換するために作曲家と提携し、母の日へ向けたショートフィルムを発表した。睡眠データの収集にはファーウェイのスマートウォッチ、GT2の行動追跡機能が使われたが、この機器は睡眠のさまざまなステージを追跡できるほか、睡眠の質を改善するための分析や個別のアドバイスにAIを利用している。親になると睡眠が不足する。こうした状況を背景に、ファーウェイは母親たちから睡眠データを入手し、データから楽曲を作るために作曲家を招聘した。そうして出来上がったのが午前4時のコンサートと名付けられた3分間のショートフィルムで、母の日の夜に発表された。

母の日に向けたファーウェイのショートフィルムは、データや技術は冷徹で感情を持たないという概念に挑戦しようとするもので、なおかつ自社のスマートウォッチの先進的な最新機能も強調している。中国ではウェアラブル端末の普及率が下がり続けているため、最新機能を消費者へ更にアピールしていくことが重要である。ウェアラブル端末の基本機能はスマートフォンでもその殆どをカバーしているため消費者の関心は薄れているが、同時に、差別化できる画期的機能が欠けている。AIによる分析と個別の健康に関するアドバイスという機能を強調することで、ファーウェイは母親のみならず、より健康を意識するようになった消費者の興味を引こうとしている。

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メラニー・ナムビア – トレンドアナリスト(東南アジア)

4. 米国 – よりよいWi-Fiコネクション”.

ランド・オレイク農協組合は米国の11州で、多くの事務所、製造施設、その他の事業拠点の敷地外に無料のWi-Fiアクセスを提供している。2020年4月末頃に開始されたこの6週間に渡るプログラムは、企業が地方のブロードバンドインフラに多額の投資をするという支援活動の一環で行われた。

各施設はWi-Fiユーザーのために駐車場の一部区域を指定しているが、そこでは適切なソーシャルディスタンスが保てるようになっており、ゲストユーザーはWi-Fi使用中は車の中にいるよう要請される。Wi-Fiアクセスは、イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、ミネソタ州、カンザス州、ミズーリ州、ネブラスカ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州、オハイオ州、ウィスコンシン州で利用できる。

コロナウィルスの世界的流行によって社会における環境格差が目につくようになったが、そのひとつが家庭からインターネットへアクセスする際の環境格差である。世界は教育、商業、医療のあらゆる分野において、サービスや課題解決の方法がデジタル化へ向かっている一方、ブロードバンドへのアクセスが不十分な者は取り残されてしまっている。

グローバル市場は生活の中にインターネットアクセスがあることを前提として革新されてきたが、この不完全な概念は本質的に世界人口の一部の人々を無視してしまっている。米国の消費者が水道や電気といった公共設備への確実なアクセスを期待するのと同じように、今やWi-Fiアクセスは現代社会で健康的かつ積極的な生活を送るために必要な基本的生活必需品の範囲に含まれるのだと確信を持って言える。今回、ランド・オレイクがこのような一時的なソリューションを提供し始めているが、一部の取り組みでは、制度としての長期的ソリューションがこの問題を解決する唯一の確実で有効な手段であるとして、その実現を国会議員へ働きかけている。

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アルゼンチンパーキングボット

Botiはブエノスアイレスの新しいチャットボットで、ユーザーが問い合わせを送信したその場所が駐車可能かどうかを知らせてくれる。自治体はブエノスアイレス市内で駐車可能な場所について、年中無休でドライバーに情報提供するチャットボットを開発した。ドライバーがWhatsAppアプリを通じてチャットボットにメッセージを送ると、すぐにWhatsAppの使用場所を共有するよう要請される。測位技術を使い、チャットボットはユーザーの現在位置周辺で利用できる駐車場について情報を送ってくる。さらにこのチャットボットは最寄りの警察署、消防署、病院、路上にいるドライバーにとって便利な施設に関する情報も提供してくれる。

消費者はボットと対話すること、デジタルツールを利用してお気に入りのブランドと「話す」ことを次第に受け入れつつある。これは非常に便利で、COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の大流行で消費者が自宅から出られず、ブランドや企業とのやり取りがリモートに限られているような危機的状況においてはおそらく唯一のソリューションとなる。今や消費者は家計や医療に関してもボットから助言を受け、資産や個人情報をクラウドプラットフォームに託しているが、これは強制的なロックダウンが施行されている中で日常業務を行うためには他に選択肢がないからである。多くの人が世界的流行に驚愕し、企業は消費者の現状に適応する柔軟性を示すよう迫られ、これらのソリューションを消費者へ提供できるようにするため時間に追われながら前進しようとしている。

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ヴァネッサ・ロンディーン – トレンドアナリスト(南米)