Hotspotsでは、ミンテル トレンドチームが世界各地で発表された新製品や新サービスについての見解をお届けします。 電気自動車用のスマートチャージャーとしての機能と売電機能を両立した新しいオールインワンタイプの充電器から水の量に応じて様々な効果を発揮する家庭用洗剤まで、8月に行われた革新的なグローバルイニシアチブをご覧ください。

V2G(Vehicle to grid) チャージャー – イギリス

日産自動車とEDFは、電気自動車用のスマートチャージャー(wall-to-grid charger)を発売し、ユーザーが電気を送電網に戻し、売電することを可能にしました。 このこの充電器は、「日産リーフ」および「日産e-NV200」の事業用車両オーナーに提供され、車両からの余剰電力を国の送電網に売却することで、車両1台あたり年間最大350ポンドの充電コストを削減することができます。 11kWの充電器は、日産リーフのバッテリーを3時間半で充電することができ、標準的な7kWの充電器に比べて50%のスピードアップを実現しています。このデバイスは電力使用のピーク時に車のバッテリーパックから送電網へと売電し、夜間の電気代が安い時間帯に充電をします。また、アプリを用いて走行距離の制限を設定することが可能なほか、車の充電レベルをリアルタイムに把握したり、いつでも好きな時に売電モードに切り替えることが可能です。

気候変動への懸念から、ブランドや消費者の間で電気自動車の導入が進んでいますが、コストや充電時間が導入の障壁となっています。そのため、急速充電が可能なバッテリーの開発や、充電ポイントを設置する施設が増えています。さらに、消費者やブランドが環境への配慮に努めている一方で こうした方法を普及させるためには、手頃な価格で経済的に実現可能なものでなければなりません。 ソーラーパネルの無料設置や電気の売却といった特典は、このような費用面の懸念を払拭し、消費者の予算と環境意識を両立させることも夢ではありません。

– ヘレン・フィッカー, EMEAトレンドマネージャー

希釈が新たな解決策 – ニュージーランド

新しい家庭用オールインワン・クリーナーは、水の量によって機能を使い分けることができます。 ニュージーランドを拠点とするスタートアップ、Everdailyは、水道水で希釈して様々な用途に使用できる家庭用濃縮洗剤を販売しています。そのまま使うと、食器や洗濯物の洗浄に使えますが、水で5倍に薄めるとトイレの洗浄剤にもなります。 15倍の水を加えれば、スプレーボトルに入れて万能スプレーとして使用することもできます。濃縮液には刺激の強い化学物質は含まれておらず、植物とミネラルをベースにした無害な処方なので、家中どこでも安心して使うことができます。Everdailyは現在、ニュージーランド国内のみに発送をしています。

詰め替え用製品は、消費者の間で人気が高まっています。様々な問題が表面化するにつれ、消費者主義が環境に悪影響を与える様々な方法があることを認識するようになりました。現在、消費者が家庭用品を購入する際に考慮しているのは、二酸化炭素排出量、水の使用量、含まれる有害化学物質の数など、さまざまな要素であると言われています。 これらは、Everdailyの希釈式洗剤たったひとつによって解決されています。1つの製品で複数の機能を果たすことは、ミニマムな消費を求める消費者に非常に魅力的です。

– エリーシャ・ヤング , APAC トレンドマネージャー

位置情報を活用した支援 – 中国

AutoNaviは、地図アプリで位置情報を利用した相互支援サービスを開始しました。河南省で大規模洪水が発生した際に、サービスを利用して緊急支援を求めることができます。河南省鄭州市で記録的な大雨による洪水が発生した際、嵐の中、身動きの取れない多くの人がインターネットを利用して救助を求めました。この災害を受けて、アリババが出資する地図サービス会社AutoNaviは、早朝から地図アプリ内に緊急機能を搭載しました。 この機能は、河南省にいるユーザーが、地図上の「Standing Water」ボタンをクリックすることで、助けを必要としている場所を示す相互支援にアクセスできるというものです。ユーザーは、SOSメッセージ、近くの避難所、救助隊の電話番号などの緊急情報を、アップロード者の位置情報とともに投稿することができます。

SNSが人々のコミュニケーション方法を変えたこんにち、パンデミックの発生や自然災害などの危機の際に、多くの人がオンラインの大きなプラットフォームに支援や緊急情報を求めるようになりつつあります。 相次ぐ災害は、テクノロジー企業が迅速かつ効率的に対応するための厳しい試練です。

消費者は企業に対し、こうしたSNSプラットフォームを、緊急時には瞬時に救命、危機対応ツールへと仕様を変えるよう求めています。致命的な洪水の最中では常に時間との戦いです。そのため、情報の非対称性を可能な限り解消する必要があります。AutoNaviの位置情報を利用した機能は、困っている人とのつながりを維持し、需要と供給の迅速なマッチングを可能にします。

– ヴィクトリア・リー, APACトレンドアナリスト

体験型アートで魅せる – メキシコ

Stella Artoisは、100%ピュアモルトビールの製造過程を体験型アートで表現する「ARTOIS MALT GALLERY」をメキシコシティに開設しました。4人のアーティストが協力して、小さな麦芽の粒がクラシックな飲み物に変わる様子を、絵画、音楽、デザイン、テクノロジーを通して表現しています。大きな部屋の中で、絵画、構造デザイン、音楽が組み合わされ、ビール作りの全過程を体験することができます。

従来型のマーケティングでは注目を集めることが難しくなったため、企業は五感に訴えることで差別化を図る方法を模索しています。 企業は新たな試みとして、消費者を魅了し、心に残るようなユニークな体験をプロデュース・デザインしています。今年は外出制限で体験型のイベントが少なかったからこそ、このようなアイディアには特に興味をそそられます。 アーティストとの提携、思わぬスペースでのイベント、テクノロジーを駆使した没入型のインタラクションなど、体験型のキャンペーンは、五感でブランドとのつながりを深めることができ、ひいては最も伝えたいメッセージを伝えることもできるため、導入増加の傾向にあります。

出典: Milenio

– デイナ・マッケ, 南北アメリカトレンドディレクター

デジタルウェルネスのための空間 – アメリカ

Athletaは、デジタルウェルネスプラットフォーム「AthletaWell」を導入しました。このプラットフォームは、家庭用フィットネスクラブ「Obé Fitness」と提携しています。AthletaWellを通じたコンテンツは無料ですが、Athleta Rewardsのロイヤリティメンバーのみに提供されます。Obé Fitnessによるワークアウトは、毎月4種類発売されます。ワークアウトには、Athletaブランドのアンバサダーであるシモーネ・バイルズやアリソン・フェリックスなど、女性のウェルビーイングをリードするインストラクターが参加します。

Athletaは先日、女性のエンパワーメントというブランドメッセージに賛同したシモーネ・バイルズ選手をブランドアンバサダーとして迎えました。アスレジャー分野の競争が激化する中、明確なブランド・アイデンティティの重要性が叫ばれています。明確なビジョンと戦略を持つブランドこそ、独自のブランドプラットフォームを構築する機会に恵まれます。 アクティビズムに積極的に取り組む姿勢で知られるBEN&JERRY’Sがアメリカの人種差別の歴史を記録したポッドキャストを開始したほか、REIは、アウトドアに対する認識を変えることを目的とした社内コンテンツスタジオを立ち上げました。

– ダイアナ・ケルター, アメリカ合衆国 シニアトレンドアナリスト