昨今さらに注目を集めているプラントベースの食品や飲料。その中国での市場について、ミンテルのFood&Drinkチーム、アソシエイトディレクターであるデイジー・リーより、最新のトレンドをご報告します。

プラントベースの食品や飲料のトレンドは、「健康に良い」という点と「環境保全につながる」という2つのメリットが後押しし、今後10年以上にわたり市場拡大がさらに加速する見込みです。コロナ禍以降、プラントベースミートにも注目が集まっており、消費者はプラントベースの食生活を重視しながらも、エシカルに生産された肉や乳製品、その他の動物性食品も受け入れていくでしょう。

より美味しく、栄養価が高く、手軽にプラントベースの食品を摂取したいという消費者の関心は衰えることはありません。食品・飲料メーカーは、食品や飲料に果物、野菜、ナッツ、穀物、種子、スパイス、ハーブ、植物由来成分をより多く加えるなど、新たな工夫をこらしています。

中国市場ではプラントベースミルクが広く普及しているものの、従来の乳製品と比較して消費頻度を高める余地はまだ多く残されています。ミンテルのデータによると、プラントベースミルクを毎日摂取していると答えた消費者は5人に1人以下であるのに対し、牛乳・乳製品を毎日購入していると答えた消費者は5人に2人です。中国の消費者の間では「乳製品には高品質のタンパク質とカルシウムが多く含まれている」という認識が一般的であり、乳製品業界はこのことから恩恵を受けていると言えます。一部のプラントベースミルクは、牛乳との競合に勝つ手段として栄養強化表示をしていますが、今のところ乳製品の市場規模を超える見込みはありません。

プラントベースミルクが市場を獲得するための2つの方法

Nestle社、Danone社、PepsiCo社など複数の大企業がオーツミルクを発売し、Daily Box、Ogilvy Planet、Plant Labelなどのブランドがプラントベースの市場に参入しています。特にOatlyはオーツミルク市場に焦点を当て、効果的なマーケティングを行ったことで成功しており、この市場で成功するために以下の2つの側面に注力していることがわかります。

1. 消費者が関心を持つ植物原料を開発する

ミンテル の調査によると現在、中国で最も関心を集めているプラントベース食材のトップ 3 は、黒豆(例:Doubendou)、ピスタチオ(例:Panpan plantag Aug 2021)、カシュー(Hema X Weiguoqing Mar 2021)です。また、半数以上の消費者は複数の植物性タンパク質を使用したプラントベースミルクを試したいと回答しています。このことから、人気のある植物原料を合わせて使用した飲料は、ブランドにとって市場シェアを獲得するのに役立つと考えられます。

2. 高タンパク質であることを強調する

「低カロリー」や「食物繊維が豊富」といった、市場で一般的に使用されている訴求以外に、プラントベース製品のタンパク質含有量の多さを強調することも効果的でしょう。約半数の消費者が、プラントベースミルクを選ぶ際に最も重要な要素は、「高タンパク質」であると考えています。

プラントベースミルクを好む主要な消費者グループ

ミンテルの調査によると、自分が乳糖不耐症かどうかを実際に知っているのは、回答者の4分の1に過ぎません。プラントベースミルクが乳糖不耐症の消費者だけをターゲットにすると比較的小さな市場になってしまうため、主な消費者グループはナチュラルな製品を求めている「健康志向」の人たちです。

中国の消費者の3分の2は、コロナ禍前と比較して健康的な食事を摂る頻度が増えています。そして、5人に2人以上が「健康的な食事は動物性タンパク質と植物性タンパク質の両方を含むべきだ」と考えています。そして、健康志向の人々はコロナ禍でさらに健康的な食生活への意識を高め、より多くのプラントベースミルクを摂取するようになったと言えます。

また、プラントベースミルクについて、一般的な消費者は牛乳や乳製品よりもナチュラルなものだと考えていることも分かっています。その結果、ナチュラルな製品を好む消費者はプラントベースの飲料を好む傾向にあります。

ミンテルの提言

牛乳や豆乳と比べ、オーツミルク、アーモンドミルク、ココナッツミルクなどはよりタンパク質含有量が低いことが消費者の「高タンパク質ニーズ」と相反します。そのため、Oatlyのような食品サービス主導のマーケティング戦略に従うのではなく、小売セグメントに焦点を当て、市場でより競争力を高めるために製品のタンパク質の「質」に注目し、改善や強化などのイノベーションをすることを提案します。

ミンテル 世界新商品情報データベース

欧米のプラントベーストレンドは中国にも影響し、新しいカテゴリー開発が次々に起こっています。Mintel Global New Products Database (GNPD)では、プラントベースのプロテインドリンクにスポットを当てて検索するなど、特定の商品に絞った検索も可能です。

【今回の記事に関連する商品の例】

国産GMOフリー大豆を使用して作られた豆乳ドリンク。不快な匂いを引き起こすリポキシゲナーゼを含みません。また、国産のシャインマスカットから採れた5%のマスカットジュースを含む、10%未満のぶどうジュースを使用しています。

 

 

 

 

 

 

無糖のブラック&ホワイトのコールドブリューコーヒー。ほろ苦い100%アラビカのコールドブリューコーヒーに窒素で泡立てられたオーツミルクがブレンドされ、スムーズな口当たりのエネルギーブーストを提供します。

 

 

 

 

 

 

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