一口サイズのチョコレートが好きな人も、箱に入ったチョコレートを特別な日に贈るのが好きな人もいます。好みは人それぞれですが、チョコレート好きな人はどこの国においても多いでしょう。チョコレートは世界中で定番のスイーツですが、消費行動は変化しているのでしょうか。世界のチョコレート菓子に関するミンテルの調査では、チョコレート消費量世界一を調査しており、また、各国の消費者のチョコレート菓子に対する行動や姿勢も明らかになりました。

本ブログ記事では、その調査データの一部をご紹介し、チョコレートの消費傾向が欧米諸国で近年どのように変化しているのか詳しく見ていきます。

 

イギリスのチョコレート消費傾向

イギリス人の95%がチョコレートを食べていることからもわかるように、イギリス国民はチョコレートが大好きです。イギリス人の5人に4人が週に1回以上チョコレートを食べており、彼らの食生活に欠かせないものとなっています。しかし、2022年以降、チョコレートを食べる頻度はわずかに減少しており、2週間に1回程度、もしくは以前よりも定期的に食べない傾向にシフトしています。なぜイギリス人は2023年にチョコレートを食べる量が減ったのでしょうか?その理由のひとつは、2022年10月以降、HFSS(高脂肪、高糖分、高塩分)製品の店頭に並べられる場所の制限が厳しくなったため、チョコレートを含む菓子類が以前より消費者の目に触れにくくなったことが挙げられます。このため、チョコレートの衝動買いは減少しています。2022年には、イギリスの消費者のほぼ10人に7人が、お買い得キャンペーン時にチョコレートを衝動買いすると回答していました。しかし2023年には、イギリスの消費者の3分の1のみが、「特売だから自分のためにチョコレートを買った」と答えました。

 

 

ドイツのチョコレート消費傾向

ドイツも、チョコレート消費量が多い国です。2023年、ミンテルの調査によると、ドイツの消費者の4分の3が少なくとも週に1回はチョコレートを食べ、10%以上が1日に1回以上チョコレートを食べています。ドイツの消費者の半数以上が、チョコレートを食べることは「気分を向上させる手頃な方法」だと考えており、ほとんどの人が、複数回に分けて食べられる板チョコを好んで購入しています。このことは、ドイツの消費者にとって、チョコレートを食べることは「たまの楽しみ」ではなく、「日常的な習慣の一部」であることを物語っています。

どのようなチョコレートを食べるかという点では、「板チョコ」を好む年配の消費者に比べ、44歳以下のドイツ人は、1回で食べ終わる「バータイプ」を購入する傾向があります。消費者の4分の3が、「いろいろな味を試すには小さいバーの方が良い」と答えており、このことは、若い消費者が年配の消費者よりも新しい商品やフレーバーに興味を持っていることを示唆しています。

 

 

アメリカのチョコレート消費傾向

アメリカ人のチョコレート菓子消費量は、イギリスより若干少なく、過去3か月間に何らかのチョコレートを購入したアメリカ人は3%少ない結果となりました。しかし、ミンテルの調査によると、アメリカの消費者の5人に4人以上が、昨年と同量かそれ以上のチョコレートを食べていることが明らかになりました。

アメリカはチョコレート菓子の安定した市場であるように見えますが、アメリカ人はどのような状況でチョコレートを購入したくなるのでしょうか。アメリカ人の約3分の2が「おやつ」としてチョコレートを購入するのに対し、「エネルギー補給」としてチョコレートを購入するのは3分の1にとどまっています。この数値が示すことは、アメリカではチョコレートの消費は「実用性」よりも「嗜好性」の方が高いということです。このことは、2022年にチョコレートをより多く食べたアメリカ人の半数以上が、「嗜好品への欲求が高まったため」と回答していることからもわかります。

 

 

カナダのチョコレート消費傾向

カナダの消費者は、世界の他地域の消費者と同様、チョコレート消費量を維持しています。消費者の5人に1人だけが、昨年よりチョコレートを食べる量が増減しており、全体としては消費量は安定しているため、チョコレート消費全体のバランスが保たれています。カナダ人の10人に9人が定期的にチョコレートを食べているというと、人口の大部分を占めているように思えるかもしれませんが、世界的に見れば、比較的少ない部類に入ります。

チョコレートを食べることに対するカナダの消費者意識は、チョコレート菓子の利便性を第一に考えているようですが、より「健康的な選択肢」を選ぶことを好む消費者もいます。2022年にカナダでチョコレートやキャンディーを食べる人の半数以上が、意識的に砂糖摂取量を減らす努力をしています。一方で、2022年にチョコレートやキャンディーを食べる量が増えた人の3分の2は、家での間食が増えたためを理由として挙げています。

 

 

ミンテルとともに未来を見据える

国民の大多数が定期的にチョコレートを食べ、様々な種類のチョコレートを楽しんでいるイギリスは、間違いなく、世界で最も忠実で一貫したチョコレート消費国のひとつです。同様に、アメリカの消費者も近年と同レベルでチョコレートを食べており、国民の大多数がチョコレート菓子を楽しんでいます。この2つの国と比較すると、ドイツやカナダの消費者はそこまでチョコレートを食べていませんでした。

チョコレートが日常的な嗜好品である国でも、たまに楽しむことが習慣である国でも、チョコレートの消費量と消費頻度は近年安定しています。このことは、チョコレートの消費には一定の忠誠心と一貫性があり、人々がチョコレートの消費習慣を劇的に変える可能性が低いことを示しています。例年よりチョコレートの消費量が多かったり少なかったりする人がいる場合でも、その変化は双方でバランスが取れており、全体としては一貫した消費水準となっています。

さらに詳細なデータをご覧になりたい方は、ミンテルのConfectionery Market Research(英語サイト)をご覧ください。

ミンテルの詳細な市場調査やデータを活用し、貴社の事業戦略の方向性決定や、消費者行動・最新トレンドに合わせた経営判断にお役立てください。