Z世代のアルコール離れが進むとともに、ノンアルコールドリンクの需要が拡大しています。このレポートでは、世界的なトレンドの背景と今後のニーズについて考察しています。

「ソバーキュリアス」の広がり

Z世代を代表するモデル、ベラ・ハディッドの禁酒宣言に象徴されるように、お酒は飲めるがあえて飲まない「ソバーキュリアス(Sober Curious)」な若者が増加しています。彼女の母国であり飲酒が食文化に浸透しているフランスでも、頻繁に飲酒をする18歳から24歳の若者は3割に過ぎません。この傾向は北米でも同様です。

伸び悩むアルコール飲料の売り上げ

欧州でのアルコール飲料の売り上げが2022年には前年比で4%減少していることを考えると、Z世代のニーズを把握できるか否かが、今後の売上低減リスクを回避する鍵となります。他の世代向けと同様の戦略では、Z世代からの収益を見込むことは難しいでしょう。

Z世代がアルコールを避ける理由

若者のアルコール離れには次の3つの理由があります。1つ目は、彼らが二日酔いや飲酒後に感じる不安感に対して嫌悪感を持っていること。2つ目は、自尊心を高く保ちたいと感じていること。そして3つ目は、節約志向であることです。

若者にとってお酒を飲むことはもはや「クール」な事ではなくなりました。欧州で政府が行った啓蒙キャンペーンによって、暴飲の危険性に対する認識が広まったことも彼らのアルコール離れの一因でしょう。他の世代と同様に、彼らも親世代とは異なる生き方を模索しているのです。アルコールを飲むことへの同調圧力があった上の世代に比べ、Z世代は多様性を大切にし、個々の違いや選択を受け入れて尊重しています。

大手アルコール飲料メーカーは今、アルコール飲料のカテゴリーを超えた「総合飲料」メーカーとして市場競争の只中にいます。ここで、Z世代の心を掴むための効果的な方法を3つご紹介します。

 

1.ノンアルコール飲料のニーズがある様々な機会を狙う

ノンアルコールビールは夏に喉を潤しリフレッシュをする際のニーズがありますが、Z世代へは「リラックスしたい時」や「気分を上げたい時」、また「食事と一緒に楽しみたい時」など、彼らのライフスタイルに合わせた製品作りが重要です。ノンアルコールのスピリッツやカクテル、ワインなどの開発が考えられるでしょう。

 

2.「癒し系」ドリンク

スマートフォンの普及とともに不安感の増大した社会を過ごしてきたZ世代にとって、ストレス緩和効果をアピールする機能性ノンアルコール飲料は魅力的です。例えば、ベラ・ハディッドがプロデュースするノンアルコール飲料「Kin Euphoircs(キン・ユーフォリクス)」には、ストレス緩和作用のあるアダプトゲンが配合されています。また、イギリスを本拠とするGABA Labsが販売する「Sentia(センティア)」のように、脳内のGABAを活性化し良い気分をもたらすとされる植物抽出物が配合された製品も販売されています。

 

3.プレミアムなアルコールでZ世代の心をつかむ

Z世代のアルコール消費が減少したとはいえ、彼らの多くは飲酒をしています。彼らの購買力が増していることを考えると、アルコール飲料にプレミアムな価値を付けた、「量より質」の訴求をすることは効果的でしょう。例えば、きらきら光る、色が変わる、といった「ワクワク感」のあるドリンクであれば、彼らの持つFOMO心理(Fear Of Missing Out:楽しい情報を知らずに取り残される恐怖)を刺激し、惹きつけることができるでしょう。

英語版の記事はこちら:https://www.mintel.com/consumer-market-news/the-future-of-consumer-behaviour-in-the-age-of-gen-z/