近年、消費者の嗜好が大きく変化し、プラントベース食品・飲料の需要が拡大しています。なかでもオーツミルクは牛乳の代替として利用が広がり、アジアではシンガポールのコーヒー業界でその動きが顕著です。

テイクアウトカフェチェーンであるFlash Coffeeは地元のオーツミルクブランドのOatsideと提携し、シンガポール国内の店舗において牛乳からオーツミルクへの変更を追加料金なしでできるサービスを開始しました。また、#SipForChangeキャンペーンでは、オーツミルクへの変更でサステナブルを訴求したポップなデザインの限定シールがもらえるなど、サステナブルな行動の後押しをしています。

 

Flash Coffeeが#SipforChangeキャンペーンを発表
出典:Instagram

 

このようなサービスは、1つのブランドだけでなく消費者がよりサステナブルな消費行動へ移行していることを表しています。ミンテルの世界消費者調査によると、シンガポールの消費者の30%が乳製品の摂取を控えたいと考え、70%はより環境にやさしい食生活を積極的に模索しています。

健康的で環境に優しい乳製品代替食品・飲料を選ぶ消費者が増える一方、価格の高さは利用の障壁となっています。たとえばフィリピンでは消費者の50%、インドでは消費者の53%がプラントベースの食品・飲料(ベジバーガー、豆乳など)の価格が動物性の製品(肉、乳製品など)より低価格であるべきだと考えています。Flash Coffeeのように、オーツミルクを追加料金なしで選択可能にすることは、消費者が容易にサステナブルな消費をできるようサポートするとともに、サステナブルな事業を推進する会社の姿勢の表明にもなります。プラントベースの代替食品・飲料が広く受け入れられ、好まれるかどうかは、製品の味にかかっています。つまり、飲みやすいフレーバーを提供することが、プラントベースミルクの最重要課題と言えます。中国では、消費者の30%がオーツミルクやオーツ飲料の「味の薄さ」を購入に至らない理由として挙げています。

 

乳糖不耐症に対応

Flash Coffeeの新しいサービスは、これまで利用の無かった乳糖不耐症の消費者や、乳製品を摂らない消費者へ販路を広げるチャンスでもあります。乳糖不耐症はアジアの消費者に多く見られますが、Flash Coffeeはすべての商品がオーツミルクに変更可能なため、乳糖不耐症の人でもお気に入りのドリンクを心配せずに楽しめることを訴求しています。

 

コーヒーにおけるプラントベーストレンド

前述したFlash Coffeeの例は、サステナブルな取り組みを実践する企業が多いコーヒー業界で、プラントベースミルクの利用が拡大していることを反映しています。たとえばオーストラリアのコーヒーブランドであるVittoriaは、プラントベース製品の需要拡大を受け、アーモンドミルク、オーツミルク、豆乳それぞれに、専用のコーヒーブレンドを発表しました。またプラントベースミルクへの需要が高いニュージーランドでは、地元の飲料メーカーであるFree Flow社が、ニュージーランド初のオーツミルク専用生産工場を2023年末までに操業開始する予定です。

 

ミンテルの考察

プラントベースへの注目が高まったことで、オーツミルクのようなプラントベースの乳製品代替品が世界中のカフェやコーヒーショップの定番となりつつあります。現在の普及状況を見ると、プラントベースミルクが一時的なブームではないことがわかります。ミンテルの発表したトレンド「Free From」によれば、消費者はブランド、原材料や生産方法に注目し、かつては少数派だったライフスタイルや食生活を受け入れています。コーヒー文化が進化するなかで、プラントベースの原料を組み合わせた新しいフレーバーなど、ユニークな食の好みに対応する革新が期待できます。また、サステナブルであることを消費者が重視するなかで、プラントベースミルクの代替食品・飲料の成長は今後も続くと予想されます。

 

海外のプラントベースミルクにご興味のある方は

2023年10月4日(水)から3日間、東京ビッグサイトにて開催されたHi Japan 2023(食品開発展)にて、世界各国から取り寄せたプラントベースミルクを展示いたしました。

【展示品の一部をご紹介】

ブランド名:Planti

商品名:Broad Beans Barista Drink

市場:スウェーデン

  • 世界初の、そら豆から作られたプラントベースミルク
  • 牛乳の代替、または甘さ控えめなマイルドなオーツミルクの代替として使用可能
  • ヴィーガンに対応(牛乳と乳糖を含まない)
  • タンパク質が摂取でき、脂肪分は2.9%
  • マイルドで軽くナッツのような味わいがある
  • リサイクル可能な環境にやさしいパッケージ

出典:ミンテルGNPD

 

上記の他にも、「Z世代向けのお菓子・飲料」や「アップサイクル製品」、「メンタル・ウェルビーイング」に対応したグミやサプリなど、昨今の食品・飲料業界のトレンドを反映した海外製品を、数多く展示しました。展示品にご興味のある方は、ぜひミンテルジャパンまでお問い合わせください。

 

【消費者が「何を」「なぜ」求めているかを探るエキスパート】

株式会社ミンテル ジャパン(https://japan.mintel.com

ミンテルは、消費者が「何を」「なぜ」求めているかを探るエキスパートです。英国に本社を置く世界最大規模のマーケットインテリジェンスカンパニーとして、世界と国内の市場に関する独自の視点から消費者/市場/新商品/競合他社の分析を行い、市場の将来的な展望についての情報を多角的に提供しています。1972年の会社設立以降、クライアントのより迅速な経営決断を可能にする予測分析と専門家のレコメンデーションを提供。ミンテルの使命は、ビジネスと人々の成長をサポートすることです。

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